2010年12月31日金曜日

来年の展望

省エネに寄与する高機能材料が注目されるだろう。
その筆頭はPAN系炭素繊維。航空機のみならず、自動車材料への展開が来年中に起こるだろう。鉄鋼に代わる材料としての基盤ができるだろう。
光触媒材料の需要も増大することが期待される。建物の外壁、内壁などの塗料、コーティング材として、空調費を下げ、炭酸ガス削減効果のある塗料は注目だ。
ゲーム業界は新たなタイプのソフトとして、身の回りの出来事の意外な関係を見つけるような知的ゲームが登場するだろう。
当研究所は上記にかかわる銘柄に注目していきたい。
資産倍増を2011年の目標とする。

2010年12月19日日曜日

チタン、炭素繊維

今年は材料がトレンドだった。

当研究所は今年の初めに「チタン」のトレンドが到来することを記載した。
今、それが現実のものとなった。
本年の大きな成果である。「チタン」のトレンドは飛行機材料と限定的だが、これからはさらに光触媒としての用途が広がると観ている。

もうひとつのトレンド、「炭素繊維」。本年秋に大きなテーマとして取り上げられたが、東レ、帝人等の総売り上げに占める割合はまだ微小。
こちらも用途は航空機と限定的。量産化技術を完成させた企業から量産自動車等の産業に参入できる。このトレンドは来年に持ち越されそうだ。

材料といえば、レアアースが大きく取り上げられた年であった。レアアースは投機的目的としては良いテーマであるが、トレンドとしてとらえた計画的な投資には向かない。

ブランディング技術

新興国の成長によって、先進国企業にはブランディングの重要性が増している。
ユーザーが受け取っている価値観を製品の計測可能なパラメーターに置き換え、製品定義を行い、侵害を防ぐ。
農作物では、テイストと相関する遺伝子タグ等を如何に見つけるか。あるいは成分なのか。生物学的なばらつきをどう盛り込むか。
治療薬では、個々異なる患者への満足度に対応したサービスをどう定量化するか。

感性と物質をつなぐための知恵を得るために、学問は新たな次元に進む。

当研究所ではブランディング技術はこの先5年間の先進国におけるトレンドとみて研究を続ける。

2010年11月21日日曜日

予想売上増加率と株価傾向

利益率を10%以上の企業から、予想売上増加率10%以上の銘柄49社とマイナスの銘柄48社を抽出し、今年4月から現在までの株価変動トレンドの分析を行った。
調査期間内にはソブリンリスク、米国雇用リスク、中国元為替リスク、円高リスクと経済環境の変動があった。
当研究所は上記企業の株価トレンドを、独自の分析法を用いて、1)株価上昇且つ外的影響受けない銘柄、2)株価上昇且つ外的影響を受けやすい銘柄、3)株価停滞且つ外的影響受けない銘柄、4)株価停滞且つ外的影響を受けやすい銘柄、5)株価下降且つ外的影響受けない銘柄、6)株価下降且つ外的影響を受けやすい銘柄に分類した。
結果:
(Aグループ)予想売上増加率10%以上の銘柄49社の結果:
1)9社、2)10社、3)3社、4)17社、5)6社、6)4社
(Bグループ)予想売上増加率がマイナスの銘柄48社:
1)2社、2)13社、3)0社、4)13社、5)6社、6)14社
考察:
売上増加率は銘柄選択の指標になるか:株価上昇トレンドにある企業はAグループで約39%。Bグループで約31%。そのうち外的環境に強い銘柄に限ると、Aグループで18%、Bグループで4%。外的環境に強い上昇トレンドを抽出する場合は、売上増加率は良い指標になるのではないかと考えられた。
株価トレンドに影響を与えた外的環境:5~6月に顕著なトレンド変化が見られた銘柄は全体の約50%であった。これは管内閣が発足したことと円高ドル安が強まってきた時期と重なる。また、10月にトレンド変化があった銘柄は約25%であった。これは円高に目処がつき、円安トレンドが見えてきた時期に重なる。為替トレンドが今期の株価を動かす大きな要因となっていたことがあらためて確認できた。
投資価値の高い企業:為替変動にほとんど影響を受けず、株価が上昇トレンドであった優良企業を抽出した。AグループではDrシーラボと浜松ホトニクス。Bグループでは、オリエンタルランドとホシザキ電機。すなわち、売上増加率に関わらず優良銘柄の存在が確認された。
結論:売上増加率を指標とした銘柄抽出は外的環境変動に強い上昇トレンド銘柄を絞り込むのに有用であることが確認された。しかし株価上昇トレンドと売上増加率の間には明確な関係がないことも確認され、取りこぼしも多い可能性があることも考慮しなければならないと結論付けた。

2010年9月27日月曜日

日本を取り巻く状況

為替:菅直人内閣と日銀白川総裁は今後も為替操作をたびたび行っていくとのこと。これに対して、米国や欧州は一国の単独介入に批判的な態度。為替は米国や欧州との協調的対応をするべきだろう。それを実現するためには、特に米国とは連携を強めなければならない。
尖閣諸島:東シナ海、南シナ海はアジアの安全保障上重要な海域である。米国にとってこの海域はアジアへの影響力を持続するうえで重要。しかし、日本は沖縄米軍移設問題を抱え、米国とギクシャクした関係。この状況を傍観している東南アジア諸国は中国、日本、米国の対応に不安を抱いているかもしれない。
中国:世界経済を左右する重要な国になった。一見よいように思えるが、他国の投資によって一気に上り詰めた中国は危うさを感じているに違いない。国内格差、他国の先端技で底上げされた都市部の生活。中国国内の文化と生活から得られる感覚と大きくずれている状況。このひずみは必ずどこかで経済発展に挫折をもたらすに違いない。果たして、他国を敵にして切り抜けられるか。そういえばロシアが中国に再び接近している。ここに欧米+アジア対中国+ロシアの対立が顕在化するかもしれない。
インド:上記二極対立が起こるとすれば、インドは米国につくであろう。新しい戦い方として、経済的に中国、ロシアを孤立させることがありうるだろうか。企業は脱中国へ動き始めている。
アフリカ:経済発展に治安は不可欠。急ぎ、中国がアフリカに乗り出しているが、治安が足を引っ張る可能性は大きい。かといって、日本がアフリカをほっておくのも好ましくない。
南アメリカ:反米の立場から中国、ロシア側につく可能性は高い。
日本国内:債務超過は世界の荒波を渡るに心細い。国民や国内法人のナショナリズムの低下もマイナス。菅政権は早期に欧米と固い絆を確固たるものにしてほしい。マニフェストの前に外交力が問われている。

上記のような中で、当研究所は引き続きインド、アジアへ市場拡大を図る企業に投資する姿勢である
。中国関係への投資は、日本から中国市場に製品・サービスを提供する企業に限るべきとの立場も変えていない。

2010年8月8日日曜日

86兆円の需要不足

先進国の需要不足は86兆円と言われている。国内規模に直すと約9兆円の新規市場を作ることが求められる。既存の市場で同等な規模であるのは、コンビニ(約7兆円)、製薬(7兆円)等。国民全体を市場にするものが求められている。
今こそ、移りゆく国民の幸せ感について考えてみるのはどうだろうか。

2010年7月29日木曜日

グリー

グリー(3632)の成長、経営効率は断突である。国内でこれほどの企業は記憶にない。米国ではアップルやグーグルなど消費者のニーズを打ち抜いた新しいビジネスモデルが生まれている。国内ではと思っていたところに現われたのがグリーである。
グリーの興味深い点は、広告収入のみならず、製品のゲームで収益を上げていることろだ。ソニー等が追求する画像の奇麗なゲームはゲームおたくを対象にしたのに対して、グリーは暇つぶしを狙ったものだ。日本のサラリーマンの生活スタイルや出世感の事情を見事についたところに感心する。
欲を言うならば、海外市場にも進出し、日本の新世代文化の伝承者になってほしい。

2010年7月25日日曜日

勢いが感じられる企業

予想売上高営業利益率と予想売上高伸び率から勢いのある企業をトップ5を抽出した。
1位 キーエンス 6861 (技術ソリューション) 
2位 COOK 2193 (情報共有ソリューション)
3位 カカクコム 2371 (情報共有ソリューション)
4位 M&A 2127 (需要と供給のマッチング)
5位 エムスリー 2413 (需要と供給のマッチング)

2位から5位までは物作りではなく、情報の流通によって利益を生むモデルである点が興味深い。しかし、これらの企業は国内市場に限定されている。
1位のキーエンスは技術を特徴とするソリューションで、これは世界を市場にしている。
情報流通で世界を市場にする企業が日本からでてくるか、注目していきたい。

2010年7月11日日曜日

不安要因

国内の企業業績は確実に立ち直りつつある。しかし、市場には数多くの不安が行き来している。中国は不動産市場の崩壊が始まりつつあるといわれる。海運に関わるバルチック指数も低下している。バルチック指数は世界の資源運搬量に相関しており、その低下は原料の需要が低下していることを意味する。中でも世界の市場をリードすることが期待されている中国の鉄鉱石需要の低下は市場の危険シグナルだ。これらは1年先の株価の伸び悩み要因となりうる。
他方、円はドルやユーロに対し安値に移行しつつある。これは国内企業の株価には好材料だ。9月に予定されている米国の中間選挙後は通常ドル高になる。
企業決算の時期を考えると今年度は全体的に株価上げと読んでよいのではないか。しかし、決算後は中国や途上国の景気減退を受け株価の下げがあるのではないだろうか。
想像はするものの誰にも読めない複雑な状況であることは間違いなさそうだ。

2010年7月1日木曜日

材料イノベーションへ

最近、炭素繊維複合材料が脚光を浴びている。3年後には需要が2倍に伸びるとの予測もある。この材料は航空機や自動車の軽量化に大きく貢献するため、成長性は大きい。チタンは腐食しずらい軽い金属であり、こちらも炭素材料同様の意味がある。また、これらの材料は触媒や導電性、導熱性など機能性材料の原料にもなる。
課題は成形加工技術だ。大量生産に適した成形加工技術の確立が待たれるところである。

2010年6月13日日曜日

イノベーションの在り方

ものづくりでは精密加工やナノ技術など、研究者は頑張っているようだ。しかし、そういった技術は完成しても直ちには使い道がなく、使い道が見つかったころにはアジアの国々でも同じ技術がつかわれる状況にまで追いついている。再生医療に必要な細胞技術もしかり。ソーラーパネルやモーター技術も同様。
では、時間をかけても追いつけないものは何か。その答えは形の見えないもの、盗めないものではなかろうか。日本の接待ノウハウ、配送サービスの信頼性、正確性など。ほかにも、人になじむユーザーインターフェイス等。こういった無形製品を作るノウハウを教えることや盗むことは難しい。したがって、特許も必要ない。素晴らしい無形製品を有する日本の企業は多い。これを強みに世界市場に出ていくべきではないだろうか。
国内の企業は海外進出に抵抗を感じているところが多いのではないだろうか。政府はこういった企業の海外進出を支援すべきではないだろうか。

直嶋経済産業大臣はようやく法人税を下げるという方針を打ち出してくれた。外資系企業が日本にもどってくることは雇用対策の中でも即効性があるだろう。

「イノベーション」という言葉の意味は人それぞれにとらえ方が違う。多くの人は何か新しい市場をつくる技術の登場を指しているのではないだろうか。それも正しいと思うが、今、日本に求められているイノベーションは技術ではない。ビジネスモデル、もっというならばプロフィットモデルの開発ではなかろうか。
現在国内にある(物的、知的)資源を使ったプロフィットモデルについて研究すべきである。これを推進できる人材を発掘し、また、育てる環境についてもっと考えを巡らしてほしい。真の起業家は論客ではないという事実を多く見てきた。

そういえば、経済産業省傘下の(独)産業技術総合研究所の在り方についても大いに議論したほうがよいのではないか。投資した金額が大きいプロジェクトほど実用化につながってないらしい。ここがイノベーションの担い手であるならば、現在の活動は税金を有効に使っているとは考え難い。幹部にはビジネスを知らない論客ばかり。前理事長の吉川氏の「本格研究」を理解している者はいないのではないか。

民主党が無駄を省くというのであれば、2つの無駄について考えてもらいたい。
すなわち、(1)いわゆる財団や政治家の大名旅行のようなものを直ちにやめさせる。これはレンホウ議員でも可能であろう。(2)費用対効果の悪いものを改善していく。これは組織と仕分け人が一体になって考えなければならない。

研究開発投資の費用対効果の評価法を変えなければならない。すなわち、産総研、理研、大学等が国費を使って産業に資する技術開発を行った場合、その成果は産業界と予算を配分した役所が行うべきで、学者ではないだろう。評価を受ける側が評価者を推薦するなどということは論外である。

2010年5月25日火曜日

バイオ投資の費用対効果

アムジェンやジェネンテックはまさにアメリカンドリームだった。爆発的なバイオベンチャーは再び現れるのだろうか。

星の数ほどの化合物から薬として選ばれたのは約2万種類。その構造をみると十あまりの単純な構造をもとにしたものである。
ここからわかることは生体に影響を及ぼし、かつ、薬としての利用が可能な製品は極めて限られているということだ。電子材料等人工の製品を扱う産業と大きく異なる。
既存薬より優れた薬効を示すために年々コストがかかっている。
その優れ方と余計にかかるコストのバランスはもはや限界にきているのではないか。
低分子化合物を抗体に変えたからといって、さほど違わないだろう。核酸も同じ。十把一絡げの世界に入ろうとしているように見える。 既存のバイオベンチャーの医薬品開発成功確率が大企業を上回っているという証拠はない。したがってどこへ投資すかは、宝くじを買うようなものである。しいて言うならば資本力のあるところがつぶれないだけ有望ということであろう。いずれにせよ、投資の魅力はない。


望みはある。医療の中心が治療から予防に変われば、その過渡期には何か爆発力のある型破りなビジネスモデルが登場するだろう。当研究所は緊張感をもって、その出現にアンテナをはっている。

2010年5月16日日曜日

製薬2010年問題

国内で16万人が従事する製薬企業。流通までカウントするとその産業の影響下にある国内従事者は100万人を越える。
今、その産業は2010年問題と呼ばれる困難に直面している。

1990年代は創薬の大発展期であった。1960年代に医薬品の審査ガイドラインの国際的な統一が進められ、また、コンビナトリアルケミストリーや分子生物学の波及効果で、新薬開発が加速された。ビジネスでは薬価制度のない海外で新薬の特許の獲得が増えた時期であった。年間50以上の新薬が市場に登場した。ゴールドラッシュという表現もそのころできた。

その特許が今いっせいに期限を迎えている。医薬品売り上げの60%以上は特許に基づく価値だ。その権利が切れると、新薬は後発薬(ジェネリック)との競争にさらされ、市場を奪われていく。
治療効果がジェネリックに対してそれほど優位でない新薬は、特許が切れていなくても価格競争に負ける。
こうした状況を改善するために、製薬企業は世界中から筋のよい医薬品パイプラインを導入するために資金を導出する。

1990年代はブロックバスター薬の時代であった。一剤で数千億円を売り上げる医薬品をいくつももっている企業が複数現れた。今、その特許が期限を迎えている。採りつくされたブロックバスター市場はジェネリック市場に変わるのである。その結果、ブロックバスター市場の売り上げ規模は3分の1に縮小すると見られている。

製薬企業はビジネスモデルの転換点にあるといえる。競合薬の多いブロックバスター市場で戦うためには、大規模な治験を覚悟しなければならない。治験患者の奪い合いは治験コストを吊り上げる。リスクも大きくなる。こうした中で、特定疾患の治療薬の開発に向かうもの、診断薬とともに新薬をだすもの、ワクチンビジネスに移るもの等、いくつかの模索が始まっている。

患者を市場とする中の模索がある一方で、健常人の予防ビジネスにも期待が集まっている。先進国の産業構造が変わり行く中で他業種からの新規参入も期待されるこの領域は制度整備が十分でなく、市場の信頼性が確立されていない。

日本の成長力を育成するためにも、厚生労働省はアンメット市場の開拓に向けた整備を現段階から行うべきでないか。

2010年5月9日日曜日

中国で伸びる日本ブランドの抽出

中国は日本の工場となってきたが、元切り上げの外的圧力も上がっており、将来的な人件費、土地代の高騰等がおこると考えられている。製造技術の優劣はもはや支障のない程度に先進国に追いついている。他方、中国国民の購買意欲、生活向上意欲は今後高まっていくだろう。こうした中、中国の国内企業に対し競争力のあるビジネスを展開できる日本企業が成長すると考えられる。そこで、サービスの質の高さから日本ブランドが有利に働くと思われる事業分野と企業を独断的に列挙した。

化粧品:資生堂、コーセー、ファンケル、カネボウ化粧品、花王
漫画・アニメ:角川H
生活ブランド:TOTO(トイレ)、旭化成(サランラップ)、パナソニック(生活家電)
日本の医薬:イーピーエス(医薬品輸出)、シスメックス(診断)
物流:佐川急便(宅配)、ヤマト運輸(宅配)、伊藤忠(産業)
水浄化:クボタ、伊藤忠、丸紅、双日

当研究所は、上記の中で、中国への入り方でうまさを感じる伊藤忠、ヤマト運輸、イーピーエスに注目している。

2010年5月8日土曜日

日本はサービスを輸出すべき

先進国において見られる政局の混乱は金融至上主義に基づく先進国特有の経済成長に限界が来たことを暗示している。イノベーションと称して新しい技術に基づく新しい市場を国内外に作ろうとする動きも活発になっているが、経済活動に対してスピードが追いついていない。
こうした中、先進国はどのような成長戦略を描けばよいのか。
当研究所の考えは、中国国内をクライアントとする先進国ノウハウを活用したサービス事業の推進が必要というもの。中国は現在、第二次産業の工場となっているが、元切り上げ等の調整によりその国際的役割も変わっていくだろう。先進国型の第三次産業中心の社会へシフトするには、日本を見る限り、30年はかかる。この間、先進国にとっては中国に心地よいサービスを提供することがビジネスとなる。
現在考えうる具体的な事業は、ロジスティクス技術を活用した陸運ではないだろうか。また、近未来的には、先進の医療サービス等も考えられる。
ヤマト運輸や日本通運などに期待。佐川も魅力的だが、公開していない。

2010年4月20日火曜日

日本政府は市場を作るべき

米国のオバマ大統領はスペースシャトル計画終了後の米国宇宙政策として有人火星探査を発表した。これによって、米国の新規技術とその市場が活気付くに違いない。
他方、国内では、再生医療が騒がれ、政府の研究投資も行われているが、市場はない。政府は国内の病院から市場への圧力が高まるのをじっと待って、厚労省が枠組みを整備していくのであろう。こうした日本の体制は研究投資の政府負担を長期にわたり増やすばかりで、その社会還元効果が現れるタイミングも遅れる。
米国のように政府が先に市場を作り、先端技術が民間のサービスを通して国民に還元されるような仕組みをつくるべきだ、と、いつも考えている。
イノベーションとはこうした環境の下で初めて持続的に行われるのである。

政府は投資を行う前に、魅力ある市場を提示していただきたい。

2010年4月17日土曜日

チタン材料

チタン材料は大変興味深い。まず、白さが際立つ。光触媒として、浄化、脱臭作用が認められる。酸化チタンコートされたガラスの濡れ性はきわめて高く、熱の蒸散性を高めることに使われる。建築物の省エネ効果を高め、美しさを長期に維持するために効果的な材料である。
石原産業はこの魅力的な材料を提供する会社で、大変興味深い。2005年の土壌汚染問題やサブプライム後の景気低迷の影響で、財務状態は悪そうであるが、復活してもらいたい。
当該企業は農薬を欧米日に販売しているが、アジア市場を開拓したほうがよいのではないか。
当研究所は上記のような理由で、次の投資パイプラインに石原産業を選択した。

石原産業株価の特徴:100円未満の低価格株、株式流動性は高い。為替相場に敏感に反応。現在84円。為替相場が円安に動けば、100円ライン到達が期待できる。

2010年4月3日土曜日

投資成果

当研究所2月~3月の成果
日東電工 3480円→3720円 +6.8%
明電舎  378円→441円 +17%
利益確定成果 +8%

2010年3月20日土曜日

政治家への提案

投資先について、最近は米国企業に投資したいと思うことが増えた。
米国はイノベーションへの投資と市場を同時に準備する。
バイオディフェンス:2001年のテロ以降。バイオテロ、化学テロ対策技術開発に米国が投資。環境中の細菌や化学物質を検出する装置、ワクチン、治療薬等の総合的な開発。グリーンニューディール:オバマ政権が行っている。エネルギー、環境技術の総合的開発。
これらによって学術成果も大いに上がっている。

政治家への要望と提言:
例えば政府がチャレンジングな性能を設定し、それを達成できた企業の製品を政府機関に導入するなど、市場を準備してあげてはどうだろうか。企業は必要に応じて大学への協力を要請するだろう。
医療についても、薬剤副作用の診断基準を政府が定め、その基準を満たす技術は国立病院等が積極的に導入していく等が国内バイオベンチャー市場を盛り上げるのに有効ではないか。

文化的投資と産業振興投資をしっかり区別していただきたい。例えば幹細胞研究や宇宙物理研究は文化的投資である。集中投資はあり得ない。特定の研究者を応援するならば、民間財団が行えばよい。ハワードヒューズのような財団が国内にもできるよう法整備と啓蒙活動をおこなったらいかがか。
産業振興とは太陽電池やスマートグリッド、医療でいうならば個別化医療等である。文化的投資は安定に継続的に人材育成を兼ねて広く行うべきである。産業振興は選択と集中と産業界の評価が必要である。産業振興に関わるNEDO等の委託事業の成果を大学の先生が評価することは理にかなっていない。 逆に、文部科学省等の科研費を企業研究者が評価することもあり得ないのではないか。 科研費の分類に学術用語でない産業用語が増えていることは嘆かわしい。

産業振興に関わる予算は特定の業界団体と政府がマッチングファンド等を組んで、倍の予算をもとに研究開発投資をするのが理にかなっているのではないか。その代わり、業界には何らかの利益が戻らなければならない。

2010年3月19日金曜日

3D映像技術

3D映像技術の商業化を図っているソニーやコナミの株価が上昇している。「アバター」の成功はそれらの会社の業績向上の勇気づけになっていると見られる。本日のソニーは年内高値更新である。

次世代光技術

光技術は日本が強い分野。世界に誇る浜松ホトニクス等のユニークな企業がある。
日経朝刊によれば、慶応、東芝、旭硝子等が連携し、次世代光技術の効果を体験できる住宅「ギガハウス」を5年以内につくるとの記事があった。
光技術を応援していきたい。

日米イノベーションの違い

米国政府はイノベーションの喚起が上手である。日本と米国の研究開発重点領域のつくり方を見ると、日本の場合、未来の潜在市場を想定し、具体的なユーザーが見えないテーマ設定になっているのに対し、米国の場合は新規技術のユーザーは予算を出している米国政府や軍そのものである。米国の強みは政府は予算と市場を同時に提供している点である。
日本はよい技術が開発されても、市場ができる前に資金も途絶え疲弊してしまう。政府の研究投資は市場とあわせて提供すべきではないか。
そのためには、例えば厚生労働省などの規制当局が薬の費用対効果を定義し、必要な技術開発を明示するなどの勇気が必要だ。経済産業省であれば、環境技術として認める性能を設定した上で技術開発投資を行うべきだ。
現状では開発数値目標を研究者自ら設定し、それを必要としていない企業や学者がその適切性の判断をしなければならない。
政府がもし真剣に産業振興を考えるならば、市場をつくって投資すべきではないか。

2010年3月16日火曜日

研究所業績の分析

これまでの投資成果は以下のとおり。
2007年  地球環境技術(投資信託) -40%
2008年  電池部品(炭素電極) +58%
2009年  電池(NAS電池、太陽電池) +62%

2010年  電池使用製品部品(液晶、モーター) 目標は+60%(現在は+1%)

2007年の敗因は、投資テーマとして2年早すぎたこととサブプライム問題のあおりを大きく受けたことと分析。2008年の勝因は、まさに投資テーマ真っ只中で投資をしたこと。2009年の勝因も話題になった投資テーマに、ちょうどサブプライム問題から株価が戻り始めた時期にあわせて投資したこと。
経験則から、投資テーマとして話題になったときが投資どき。複数の企業がある場合、企業ごとの投資家の傾向を過去の株価変動から予測することが有効。
今年は電気自動車が注目されているが、中国やインド市場の成長も注目されている。電気自動車の販売台数の推移をみると、まだまだ小さく、自動車メーカーの利益に影響を与えるまでに成長するのは来年以降と考えられる。自動車製品の前に電気自動車部品の市場が拡大すると考えた。他方、中国やインドでの携帯電話の普及は著しく、国内をみればスマートフォンへの切り替えユーザーの増加が見込まれる。スマートフォンの広がり傾向はすでにインターネットが普及しているアジアでも日本と同時期にきてもおかしくないと考えた。スマートフォンも携帯も液晶タッチパネルが必須だ。したがってその高い技術をもっており、かつ、アジアにもつよい企業が成長するとよんだ。はたしてどうなることか。

2010年3月12日金曜日

太陽電池は価格競争に

歴史の古い技術についてみれば、市場が明らかになってからの中国や韓国の追い上げは極めて速い。
日経朝刊に「太陽電池 アジア勢、日本進出加速」という記事があった。太陽電池は早くも薄利多売の白物家電ビジネスのフェーズに入ってくるのか。アジアなどの成長市場でも日本優勢というわけにはいかない。投資の観点からみれば、2007年ごろから始まり2009年にはもっとも上げた太陽電池銘柄の山は過ぎたといえる。GSユアサや日本碍子の株価も低迷している。二次電池についても同様か。

2010年3月11日木曜日

ベトナムの産業振興

朝のNHKラジオでベトナムの産業振興の難しさが解説されていた。企業経営者には先端技術の情報は入らないし、入れようという前向きなゆとりもない。そのため、品質の競争力が劣ってしまう。ベトナムの産業全体がそんな状態であるから、中国に追いつこうとしても相当に時間がかかる。
国レベルでの産業振興速度を正確に見積もれれば、投資先選定の確度もあがるというもの。当研究所はベトナムの事例を参考に、深く研究する予定である。

2010年3月8日月曜日

エレベーターの効率化に思う

NHKの朝のニュースで、丸の内のビルエレベーターの効率化が紹介されていた。
高層化が進む中、エレベーターのラッシュは不愉快な朝の風物詩だ。目的階別にエレベーターを配分することで、待ち時間を最小限にするプログラムを導入したビルでは見事に行列が減ったとのことだった。
今、人々の快適性は「時間とコストがかからない」方向に向かっている。言い換えると、無駄に膨らんできた経済を小さくする方向に向かっている。これは雇用のパイが小さくなることを意味しており、別の社会問題を引き起こす懸念も出てくる。
化石資源の恩恵で膨らんだ人類社会。今後、環境調和の流れの中で、雇用からあぶれてしまった人々をどう救っていけばよいのか、社会保障費用もやせていかざるを得ない中で考えていかなければならない。

振動発電報道(続)

今朝のNHKニュースで先日の振動発電の報道があった。発電装置はわずか9席の床につけられたのみ。1試合9席分で白熱電球1個を40分点灯させるさせるだけのエネルギーが作れたとのことだった。 振動発電といえば「株式会社音力発電」がある。高速道路の照明やいくつかの導入例がホームページで紹介されている。
エネルギーは常にコストとの戦い。エネルギーが濃縮された化石燃料に比べ環境に分散された希薄なエネルギーは実用的なレベルまで濃縮してから使う必要がある。環境エネルギーの有効活用にはこの濃縮分のコストが余分にかかる。
環境エネルギーを社会が受け入れるかどうかは、濃縮分のコスト負担を受け入れるかどうか。若い社長の活力とそれを支える投資家に期待したい。

2010年3月7日日曜日

平成22年3月期レポート




(1)世界市場(2010~2020)
•欧米社会のエネルギー効率化が進み、欧米経済全体が縮小。
•欧米は医療インフラの整備が進み、医療、予防市場が拡大する。しかし、この拡大分はエネルギー効率化によって縮小した市場を補うには小さい。
•一方、インドや中国では欧米の20世紀後半型の産業が拡大し、欧米はこの市場への投資や輸出に依存する割合が高くなる。
•日本は欧米に追随する。インド・中国には既存技術の輸出が増える。それらの国への販売網を持っている企業が成長する。
•アフリカはこの10年で成長するが、欧米の市場には届かない。また、中国等の企業進出が大きく、先進国のビジネスには見合わない。
(2)日本ブランド(2010~2020)
•プラント(水、発電、化学) •二次電池、燃料電池 •高機能材料(電子、民生) •自動車(電気自動車、ハイブリッド車) •超高速鉄道車両(ハード、ソフト) •ロジスティックス(ソフトウエア) •アニメーション
(3)日本固有の業態:日本技術の輸出に商社の活躍の場が広がる。

2010年3月5日金曜日

バイオ燃料の基準改定

経産省はバイオ燃料の基準を改正するそうだ。バイオ燃料は炭酸ガスを原料に作られているから燃やしても炭酸ガスを大気中に戻すだけというストーリーで価値が語られてきたが、現実には製造過程でのシステム稼働や運搬等で炭酸ガスを出している。したがって、炭酸ガスを出さないで作られているという認識は正確ではない。それでも化石燃料よりは単位熱量当たりの炭酸ガス発生量は低いであろう。そうした事情から、化石燃料に比べて炭酸ガス排出量が50%以下のものをバイオ燃料とするそうだ。
こうした場合、基準を満たすバイオエタノールの主力はブラジル産ということになってくる。ブラジルでのバイオエタノール生産事業といえば双日が目立っている。今後どうなるか。

2010年3月4日木曜日

振動発電技術

「楽天×ヴィッセル神戸 エコプロジェクト」。遊びと思っていた振動発電技術ではあるが、なるほど、こういう見せ方があるか感心し、それに投資をしたかと感心した。 
3月7日のJ1開幕戦からスタート。ホームズスタジアム神戸のサポーターズシートの一部に床発電システムを導入し、サポーターの振動を電気エネルギーに変換し、試合時の電力として活用する。「サッカーの応援で特徴的なジャンプの振動により発電を行う、サッカー観戦ならではの試み」としている。発電量はスタジアム内のパネルでも表示する。床発電システムはジェイアール東日本コンサルティングが開発したもの。得られた電気はどのように利用されるのだろうか?
ニュースに触発され、電磁誘導で発電する洋服などのイメージも広がってきた。
環境をエネルギーに変える技術は楽しさから広がるのも悪くなさそうだ。

高齢者の独り暮らし

一人暮らしの高齢者(66歳以上)は200万人を超える。一人暮らしの生活費は一般に割高。高齢者は収入が限られている上に医療費など突発的にかかる費用も多くなる。こうした高齢者が快適に、割安に暮らせるサービスにはどんなものがあるだろうか。
一人分の食事を作るのは結構割高。しかし、宅配などで頼むものは日によっては多すぎる場合もある。スーパーのお惣菜は口に合わない。こんな一人暮らしのためのサービスにはどんなものがあるだろうか。
高齢者に優しいインターネット端末(例えば、タッチパネルだけで操作できる)というものはあるのだろうか。
家をきれいに保つために何かサービスはあるだろうか。
高齢者が生きがいを見つけるのを手助けするサービスはあるだろうか。
都市と地域ではニーズに違いがあるだろうか。
一人暮らしの高齢者とWIN-WINになるサービスについて考えを膨らましてみよう。

2010年3月3日水曜日

国際太陽電池展

東京ビッグサイトで太陽電池、燃料電池、二次電池の展示会が開かれている。水素を燃料にした小型燃料電池の進展には目を見張るものがある。太陽電池は耐久性とコストが課題だ。二次電池もさまざまな形態、性能、材料のものが現れている。
標準化のリーダーは誰が取るのだろうか。あるいはノートパソコンのように製品と一体となって広まるのだろうか。どの電池メーカーがどの製品メーカーと提携するのか。すでに多くのシェアを持っているGSユアサを揺るがす企業が軒並み現れるのだろうか?

ジェネリックの流れの中で

今朝のニュースはメルクの子会社となっている萬有製薬が国内ジェネリック本格参入。このところ、新薬開発を売りにしてきた製薬企業がジェネリックに本格参入する時代に入った。
既存薬がある疾患領域はほぼすべてジェネリックに変わるだろう。なぜなら、リスクを抱えて大きな開発費をかけてジェネリックよりコストメリットのある新薬開発にはあまりにも負担が大きすぎるからだ。
では、どんな疾患領域で新薬は期待できるか。オーファン指定の疾患であろう。患者も少なく市場も小さい。ようやく治療法がなかった人々に光があたるかもしれない。

2010年3月2日火曜日

水ビジネス

「水不足」は21世紀の後半の社会問題になることが懸念されている。一般に我々が「水」をイメージするとき、飲み水を想像するが、問題となるのは、水不足による食糧不足なのだ。
地球の気候変動によって長い乾季と短い豪雨期に特徴づけられる地域が増えるとの予測がある。この予測が現実のものとなると、豪雨によって大地の養分は海に流され、長い乾季に植物が枯れるという事態になる。
水への投資を考えるならば、従って砂漠をはじめとする乾燥地帯での農業を可能にする技術を有している企業ということになるだろう。双日は大学発ベンチャー「メビオール」が開発した保湿フィルムを使ってUAEとサウジアラビアでトマトを作る試験を行っているとのこと。
農業といえば、国内ではアグリビジネスとして認知されている分野かもしれない。ラディッシュボーヤ等無農薬野菜の会員制ネット販売事業やワタミ等の契約農家による有機野菜仕入れモデル等がある。
これらのビジネスに比べて、双日が興味深いのはオイルマネーをうまく活用しているところだ。
興味深く見守っていきたい。

2010年3月1日月曜日

オリンピックにみる価値観

キム・ヨナが浅田真央に大差で勝った。美しさや構成の自然さが評価された結果だ。浅田真央はキムヨナより高度な技で演技を構成したが、評価は思ったほどではなかった。初の銅メダルに輝いた高橋大輔はキムヨナ同様芸術性の高い演技で4回転のミスを挽回した。
今、世の中が心の充足のために求めているのは高い芸術性と高い技術の融合か。製品をみると見て触って使って楽しいものが売れているように思う。ソフトバンクが売りだしたiフォンは速さと楽しさでドコモをしのぐ勢いで売れている。服はかっこいいが機能性にも特徴のあるものが売れている。 ユニクロは機能性で売り上げを伸ばしてきたがそろそろ限界に来ている。今後はそれに加えて高級感をいかに出せるか、鍵になるのではないか。

波力発電技術

伊豆諸島沿岸域で波力発電試験が始まる。波力発電の最初の特許は1799年フランスのピエールジラードらによるものだ。現在、波力発電の方式はおよそ6種類が発明されている。減衰型、点吸収型、振り子式波力変換型、振動水柱型、越波型、没水圧力差型等基本特許はほぼ押さえられている。発電コストはキロワット当たり数十円~100円程度。風力発電が数円程度であることを考えるとかなり高い。また、海が荒れた時の構造物破壊力はすさまじく、十年以上の長期にわたって壊れない設備をつくるのはまだまだ困難があるとのこと。
日本を囲む海をエネルギー生産の場として活用しない手はないが、技術革新が求められている。

疾患予防ビジネス

タニタは健康指標計測機器と管理ソフトをつなげたビジネスを展開している。こうした考えは、研究からビジネスまで世界的な傾向で、ビジネスではタニタが先行している。東大教授の板生 清氏はNPO法人ウエアラブル環境情報ネット推進機構やヒューマン・レコーダー株式会社をつくってさらに複雑な計測、解析手法を導入した健康管理システムについて産官学の研究開発、製品化、普及に努めている。
今後広がることが期待される予防ビジネス。タニタの市場の拡大が注目されるところである。

2010年2月28日日曜日

産業別生産効率

産業別生産高を産業別人口で割った値を比較した。
第一次産業:第二次産業:第三次産業=1:8:16
第一次産業は生活になくてはならないものであるが、収入が低く、産業の継続性が懸念される。しかし、製品に付加価値をつけてコストをあげても消費者に受け入れられない。生産効率を100倍に向上1できる技術を模索してみるのはどうか。
植物工場の発展に期待したい。また、栽培漁業の生産性向上に期待したい。

ノースシー・グリッド計画

ウォールストリートジャーナルによると、欧州北海沿岸9カ国はノースシー・グリッド計画(3兆7000億円)を進めるとのこと。自然エネルギー発電による電力供給を6000kmに及ぶ送電網で国境を越えて共有する。また、ドイツ中心のデザーテックプロジェクト(50兆円)は北アフリカの有効活用として太陽熱発電パークを作り、2050年までに欧州の電力の15%を補う計画もある。
背景は火力発電所の老朽化。今後の10年間で30%の電力が失われる。2020年までに全体の20%を再生可能エネルギーにする目標も立てている。
国内に目を向けると電気事業法がスマートグリッドの障害になっているという意見もある。電力事業会社の大きな抵抗もあって不思議ではない。もし、従来の事業主を重視するのであれば、事業主が再生可能エネルギーの供給にもっと投資をするべきだろう。当研究所は潮力発電、海流発電などの開発を進めるべきと考えている。

アノマリーの活用

日経ヴェリタスに学ぶアノマリーの活用
当研究所は年2回投資パイプラインの利確、見直しを行っている。
経験的に春と秋は株価低迷の時期であるため、春と秋に買い、夏と冬に売りのサイクルがもっともよいと考えている。アノマリーの観点から、これは妥当らしい。
日経ヴェリタスによれば、よく知られたアノマリーがあるとのこと。(以下一部参照)
1)寅年は株価が低い→中長期の投資に適
2)3月と秋は円高ドル安→円高だと株価が下がる→投資のタイミング
3)企業規模は小さいほうが株価は上昇→単価低、発行株数大が望ましい。

市場環境の整理(2)

当研究所が描く、低炭素社会を前提とした変化

社会インフラの大きな変化(数十年の波)
エネルギー供給の方向性:大手電力メーカーの衰退。
家庭は太陽光発電と蓄電でまかなえるようにすることを基本に、不足分だけを大手電力メーカー、あるいは地域の小中規模の電力メーカーから買う仕組みが将来の姿。

通信:有線から無線へ。NTT事業モデルは衰退。大容量高速通信網が日本全国を網羅した状態が将来の姿。モバイルで世界がつながる。

情報:通信基盤の充実とともに情報のフラット化がよりいっそう進む。自動車のナビゲーションは通信で。情報サービスはより高度な情報提供か、情報統合による付加価値が求められる。

材料:脱石油。高分子合成のためのC1化学が重要。生合成技術も大きく求められる。

食品:電力を活用した土地の生産性向上技術。

医療:治療市場が縮小し、予防市場が拡大。

交通:電気中心の社会であれば、電車、電気自動車が中心。また、情報のフラット化によって長距離移動のニーズが限定的になる。

この1年の波
各国の出口戦略の結果が現れる。電池産業の回復。中国、インド向け公共事業用高機能材料需要の回復。住宅着工件数の回復に伴い、省エネ技術市場が拡大。

2010年2月25日木曜日

高機能化がキーワード

町に眼を向けると、今年の製品は高機能化がキーワードになっているようだ。
衣:高機能繊維、軽量、保温、冷感、等
食:プロバイオティクス、医食同源、
住:スマートフォン、省エネ住宅、

生活に眼を向けると、今年は手帳が人気だ。自分の目標管理、自己実現意識が高まっている証拠だ。個人の起業意識も高まっている。社会人のセカンドスクールがはやっている。副業もはやっている。キャリアパスが見えにくい中、心の病にかかっている人は100万人以上とも言われており、心を励ます内容の本が売れている。

つづく

2010年2月24日水曜日

核酸医薬開発

核酸医薬はさまざまである。アンチセンス、アプタマー、デコイ、そしてsiRNAやmiRNA等があげられる。RNA干渉が発見された頃は抗体医薬とともに核酸医薬は脚光を浴びた。しかし、デリバリーの難しさと、費用対効果の側面から今は沈静化している。ただ、癌等の治療薬として、また、眼の疾患等薬物動態がシンプルなものは依然として期待されている。
核酸医薬の研究開発動向をみると2003年を底に2009年まで増加している。しかし、開発の進捗をみると開発後期にあるものは極めて少ない。
基盤技術として、核酸医薬の開発支援を考えるならば、低分子化合物並みのコストで、しかもGMP適合レベルで合成できる方法の開発が鍵となるだろう。国内ではジーンデザインという企業がGMP対応で核酸合成をおこなっている。

iPS細胞誘導に新手法

米国ハーバード大の日本人を含むグループが成功。肝がん幹細胞に抗がん剤2種を加えると、正常肝細胞になり、さらに、4種の抗がん剤を加えるとiPS細胞になったとのこと。肝がん幹細胞の染色体は正常でなかったのに対し、誘導されたiPS細胞の染色体は正常だったとのこと。染色体の異常の程度にもよるが、一度構造が壊れた染色体が元に戻る等ということは信じがたい現象だ。
それにしても、iPS細胞の経済効果はいまだに疑問であるし、国を挙げて騒ぐほどのことではないと理解するほうが妥当ではないか。もちろん、臓器移植を待ち焦がれている患者にとってはiPS細胞によって治療への道が開かれることは望ましいし、それを否定はしていない。
当研究所では技術の投資価値を判断することに主眼を置いている。近未来的にGDPへの貢献の度合いを見積もることがひとつの指標と考えている。iPS細胞が位置する医療市場は30兆円。しかも閉鎖的な市場で、自由競争もほとんどない世界。iPS細胞への投資はあまり魅力的でないという理解のほうが妥当ではないか。

2010年2月23日火曜日

市場環境の整理(1)

かつて豊臣秀吉は停滞した国内経済を打開するために朝鮮半島への展開を試みた。18世紀から19世紀の英国はインドに展開することで経済問題の解決を図った。
20世紀後半から21世紀、IT技術の高度化に支えられ、世界経済はグローバル化が進んだ。先進国全体でGDP成長率が低迷する症状を改善するために、BRICSというキーワードが世界で注目される状況が作られた。
中でも、中国とインドは先進国のGDP発展に寄与するための魅力的な条件がそろっていた。人口は2つの国を合わせて26億人、所得は先進国に続いて高く、携帯電話やインターネット等のIT普及率は50%に迫る。
こうした国には上下水道や電気等のライフラインの充実など、まだまだインフラ整備事業の余地がある。地球温暖化や環境破壊問題を世界のコンセンサスにすることは、先進国が発展途上国に技術を導入する動機つくりに有利に働く。
国内企業の高いインフラ関連技術が発展途上国に導入される構図ができれば、日本の成長につながる。商社などが活躍する場面はまだまだこれから本格化するのではないか。
国内に眼を向けると、民主党政権下、住宅の断熱効率や太陽光発電の効率などの環境対応基準つくりに力を入れている。したがって、こうした技術の底上げと価格競争力を磨く動きがこの1,2年の間に起こるだろう。

2010年2月21日日曜日

レアメタル

レアメタルの使途:
パラジウム(コンデンサー):携帯電話
リチウム(電池):電気自動車、パソコン、携帯電話
ニッケル(電池):電気自動車
白金パラジウム(触媒):排ガス浄化
モリブデン、ニッケル、クロム(特殊鋼):飛行機、自動車
タングステン:超硬工具
エルビウム:光ファイバー
希土類(永久磁石):モーター
ガリウム:半導体材
レアメタル代替:
インジウム→酸化亜鉛
ネオジウム→フェライト(三菱電機)
希土類触媒→鉄触媒
ITO電極→カーボンナノチューブ(東レ)、グラフェン(富士電機)
レアメタル回収:
都市鉱山

2010年2月20日土曜日

民間宇宙開発技術

ウォールストリートジャーナルのコラムに学ぶと、宇宙開発への投資が活発化しているとのこと。国レベルでの活動だったものが、企業や個人が投資を受けてかかわれるようになってきているとのこと。ロケットを飛ばすことは一見高額であるが、その多くはシステムの維持管理費で、燃料費等は全体の2%程度。何回飛ばそうがそれほどコストは変わらないのだそうだ。
民間が多く利用すれば、一回あたりのコストは相当に下がり、政府としてもよい収入になるかもしれない。
数百万にのぼる小惑星にはレアメタルやプラチナ等がいわば無尽蔵にある。アバターもそんな時代が舞台になっていた。
ロケットが飛行機のように飛び交う時代は数十年先かもしれないが、それまでの時間にメリットとリスクを研究しておく必要は誰も否定しないだろう。
あまりに先の話ではあるが、地球上の資源に依存したパワーバランスは変わるであろう。もし、民間の宇宙資源開発事業によって小惑星の軌道が変わり、地球にぶつかるような危険が発生したら、どう対処するのだろうか。
期待より、不安が大きい。

2010年2月19日金曜日

3D映像技術

昨年からにわかに3Dへの関心が高まっている。「アバター」のヒットはそれが市場になることを証明している。国内のTVメーカーもこぞって3D映像技術の開発を始めている。
3D映像技術は見る側を主役にし仮想空間を疑似体験させる目的には最適である。例えばファンタジーやネイチャーをテーマにしたものは3Dの効果を存分に発揮できることが容易に想像される。しかし、映像にはメロドラマのように3D化がその価値に影響しないものもたくさんあるだろう。映画は観覧している間は一人一人が見るものだから眼鏡を使った3D技術で問題ない。他方、TVは明るい部屋で皆が語り合いながら楽しむ場合が多いと思われるので、眼鏡は違和感があるだろう。シューティングゲームや体験型ゲームの3D化は急速に広まってもおかしくない。国内ではナムコ、セガ、任天堂、ソニー等がこの市場をどのように創造するか、注目していきたい。

2010年2月18日木曜日

バイオガソリン

日経新聞によれば、新日石は1000店舗あるバイオガソリン供給所の数を2010年には2000店舗に増やし、環境配慮でガソリンの需要を掘り起こす方針とのこと。環境配慮が売り上げに反映しうる商品差別化要素になったことはすばらしい。20年前には有識者の間では語られてはいたが、マーケットに反映されるようになったことは感慨深い。
原油消費は原油価格の上昇で2005年をピークに減っている。現在は99年のレベルだ。バイオガソリンはマーケットが縮小する中、競合他社への優位性に使われていると考えると、投資としては魅力が小さい。

2010年2月17日水曜日

小売業と農業の提携

日経新聞によれば、吉野家Hが農家と共同で横浜市に農業生産法人を設立し、牛丼用のたまねぎを生産することになったとのこと。消費者の食の安全・安心意識の高まりに応えるものだそうだ。20年までに20以上の自治体で農業を手掛けるとのこと。このほか、ワタミ、サイゼリア、モスフードサービス、セブン・アイH、イオン等小売大手が農業に参入しているそうだ。
日本サブウェイ(サンドイッチチェーン)は農業技術ベンチャー・アニス(川崎市)の微生物製剤を農薬の代わりに使っているとのこと。アニスのような安心安全のための農業支援ビジネスも今後伸びる余地を多く持っている。アニスの農薬は日米で認可を申請中とのこと。 中国等への進出も夢ではないだろう。
休耕地が増える中、また、国民の食意識が安心・安全にシフトする中、農業は地方活性化の鍵であることは間違いない。すばらしい利益モデルが現れることを期待している。

2010年2月15日月曜日

人間と技術の関わり方

プリウスのリコール問題は、人間が技術に求める関係性が変わってきたことを象徴する事件。プリウスのブレーキは古い世代は機械の癖と感じ、現代の世代は不具合と感じた。かつては人間は機械を道具として使いこなすという付き合い方。そのために、機械の癖を知り、うまくつきあうことが当たり前だった。しかし、コンピューターが発達し、生活の中に入り込んでくると、人間はコンピューターが人間の要求に歩み寄ることを求めるようになった。小出委員によれば、駅の自動券売機もヒトの感覚にフィットしていない場合があったとのこと。今後の技術開発には、人間の受け取り方を重く見る必要がある。(NHK朝のラジオ、小出五郎解説員の解説より)
こうした事例は、ユーザーインターフェイスという領域に含まれるかどうか定かではないが、社会の感覚の移り変わりが知らないうちに進むことへの不安というものをニュースから感じた。
技術というものがヒトの下にあるものという感覚から、ヒトと同等に位置づけられる感覚に遷移した。まさに、SFで描かれてきたヒトとコンピューターの関係性が現実のものになっている。ターミネーターという映画ではロボットやコンピューターに支配される人間社会への不安が描かれていたが、それは10年後の私たちの世界を予見しているのかもしれない。
他方、人間と自然との関係について人間の思想も変わってきている。アバターという公開中の映画は、自然と人間社会が情報やエネルギーを共有しながら1つのシステムとして維持される世界と、その価値に気付かない人間社会とがうまく描き出されている。
技術ベクトルをどのように捉え、受け止めればよいのか、当研究所の大きなテーマである。

2010年2月11日木曜日

GDPを牽引する市場テーマ長期予想(1)

■ 当研究所による市場テーマの予想
 2010年~2015年 蓄電池を用いたさまざまな製品および部品(国内外)
 2012年~      浄水装置および技術 (発展途上国向け)
 2013年~2020年 エコ住宅および材料 (国内)
 2015年~2020年 診断、疾患予防サービス (国内)
 2017年~2025年 農地提携ビジネス (海外)
 2020年~      電気自動車 (国内外)
 2030年~      スマートグリッド(携帯電話普及の経過と類似) (国内)

■ 当研究所の2010年の活動
 投資パイプライン:(1)日東電工、(2)明電舎
 研究開発段階の調査テーマ:(1)診断および疾患予防技術、(2)スマートグリッド要素技術

蓄電池用資源の値上がり

ノートパソコン、高機能携帯電話、自動車、太陽電池など蓄電池を必要とする製品の販売数拡大に伴いコバルト、カドミウム、インジウム、ネオジウムなどのレアメタル、ミッシュメタルなど希土類の価格が直近安値から1割から3割上昇している。
ついでに半導体シリコンの需要も増大している。企業のパソコン買い替えの時期に入っているらしい。
(ここまで日経新聞参考)

2010年2月10日水曜日

オイルマネーで農地買収の動き

サウジアラビアをはじめとした湾岸産油諸国が将来の食料確保のためにアジア諸国の農地の買収に動いているとの話がある。長期的にみれば、これは植民地政策にも見られかねず、注意が必要であるが、短期的にはアジアの発展途上国にオイルマネーが流入し、アジアの生活レベル向上が加速するのではないか。よく考えれば、短期的には日本企業の市場拡大と考えることができるかも知れない。
当研究所では農業を軸とした新規ビジネスが立ち上がってくるのではないかと調査を開始しているが、オイルマネーが引き起こす農地争奪戦がそれだとすると残念だ。

欧州の電気自動車動向

NHKニュースによると、EUは9日、各国の産業相などが出席して、電気自動車の将来について議論する会議をスペインのサンセバスチャンで開いた。会議のあとの記者会見で、EU議長国、スペインのセバスティアン産業相は「電気自動車はヨーロッパの環境や経済、雇用にとって大きなチャンスだ」と述べ、電気自動車を経済成長の原動力として、2020年までの政策の柱に位置づける考えを明らかにした。そのうえで、世界的な競争を勝ち抜くためとして、電気自動車の共通の規格作りや、自動車の充電のためのインフラ整備、普及を後押しするための補助金の制度などについて、EUの執行機関に当たるヨーロッパ委員会が来月中に具体的な戦略をまとめるとしている。電気自動車をめぐっては、日本や中国の大手自動車メーカーがことし相次いでアメリカ市場に参入する方針を示しており、ヨーロッパの自動車メーカーは後れを取っているとして巻き返しをねらっているとのこと。
国内では電気自動車市場は地方自治体への導入から始まっている。インフラの整備も抱き合わせになることから10年~20年程度先の市場となろう。

ヒト万能細胞から生殖細胞作製 容認へ

日経新聞によれば、文科省がヒト万能細胞(ES細胞、iPS細胞)から生殖細胞を研究用として作製することを認める指針案を出した。ただし、受精は禁止している。パブリックコメント45件のうち、41件は生殖細胞作製容認の立場だったとのこと。
別に、日経のアンケート調査では、先端医療は期待より不安が大きいとの結果もある。文科省にはいったパブリックコメントは果たして国民の認容性を代表しているのだろうか?
当研究所は産業技術の展開方向を見る立場から、文科省の指針に対し、賛成も反対もない。ただ、産業技術として生殖細胞作製技術をどのように捕らえればよいのか、道のりは長いと見ている。

12月機械受注統計の結果

本日発表された12月機械受注統計は先月比で市場関係者の予想を上回る約20%増加した結果が出され、景気回復の兆しを裏付けた。あとは、現在89円台後半にある円対ドルが円安に向かうことで、平均株価の上昇が期待できる。そのためには、欧米の金融環境の回復が待たれるところである。
当研究所では、今がある意味、底値ということではないかと見ている。

2010年2月9日火曜日

特許09年国際出願件数

日経新聞によれば、世界知的所有権機関(WIPO)が2月8日に発表した特許の国際出願件数速報では1891件を出願したパナソニックが企業別順位で1位になったとのこと。
家電を多く扱う業界は特許が多いのが特徴。
近年の先端的ビジネスでは特許以外の知財防御法も活用されており、知財のあり方は今後議論を呼びそうである。

富士フィルムが後発薬参入

日経新聞によると、富士フィルムHは三菱商事と新会社を設立し、今春200品目の販売を開始するとのこと。富士経済は政府の普及策によって年8%成長が続くと予測している。同社もこの成長環境下、需要開拓を進めていく様子。
連結売り上げ高2兆4343億円のうち、医療事業が2698億円。4月より後発薬の販売を開始。
当研究所としては、後発薬よりも予防や診断事業が今後大きく拡大していくとみている。後発薬は現時点では成長市場であるが、数年で落ち着くのではないか。
他方、新薬の定義から後発薬の新しい薬効や配合は新薬となることから、後発薬から新薬を生み出す動きが製薬各社で活発になるのではないかとみている。2010年問題はその契機になるだろう。

中国が輸出世界一

共同通信によると、ドイツ連邦統計庁が9日発表した2009年貿易統計(速報値)で、輸出額は前年比18・4%減の8032億ユーロ(約99兆円)だった。同庁が公表したドル換算は1兆1213億ドル。既に公表済みの中国は1兆2016億ドルで、前年まで首位のドイツを上回り、初めて輸出世界一の座が確定した。中国には、日米欧の主要メーカーが低コストの生産拠点として進出を続けており、「世界の工場」として躍進、存在感が一段と高まった。中国は09年の国内新車販売台数でも米国を抜いて首位。10年の国内総生産(GDP)総額で、現在世界2位の日本を超える経済大国になるとみられている。欧州最大の経済規模を持つドイツは03年以来、輸出首位の座を維持してきたが、09年は金融危機の影響で欧州諸国向けなどが落ち込んだ。
当研究所では、欧米経済が復調していく過程で、再び中国を抜く可能性は高いとみている。国内でも景気が悪くなると価格の安い企業の売り上げが伸びる傾向がある。中国がこのまま勢いを増すのか、欧米の巻き返しがあるのか、見守っている。

2010年2月8日月曜日

機械受注統計の意味

2月10日は機械受注統計が公表される。これは主要機械メーカー280社の機械受注実績を集計したもの。中小機械メーカーの実績は反映されていない。機械受注は設備投資に対して先行性がある。したがって、この先の投資環境を予想するうえで重要な指標となる。
本統計にはIT機器は含まれていない。第3次産業の比率が高いわが国の投資環境を予測する上で、本統計をどのように利用していくか、検討の余地が残されている。

景気ウォッチャー

昨年から株価は企業業績より経済指標の影響をより強く受けている。景気ウォッチャーはそのひとつ。DIの変動と平均株価は2から3ヵ月位相がずれているとのこと。本日発表になった景気ウォッチャーによれば、DI の底は11月。12月、1月と2ヶ月連続で回復が見られる。
この情報に基づけば、平均株価は今月か来月には上昇トレンドに転ずるかもしれない。

個別化医療

本日の朝のNHKニュースで理化学研究所の鎌谷先生らのグループがゲノムの違いで健康指標の正常値が異なることを見出したとの報道があった。
健康診断のあり方が変わると、例えば、人はみな自分のゲノム型を把握しなければならない社会がくる。
今後の医療ビジネスは健常人に対するサービスをいかにつくるか、という傾向がすでに現れている。現在は国内6千億円の成熟ビジネスとして落ち着いている診断ビジネスは今後拡大する有望な候補だ。富士レビオ、SRL等国内の大手企業から目がはなせない。

細胞治療

一昨年、昨年はiPS細胞がバイオの目玉だった。久々の日本人による世界的な成果。特許はどうするのか。国も特許の取得を目指し、巨額の投資を行った。
当研究所では、しかし、国の過熱気味な対応には疑問があった。当初より京都大学が基本特許を獲得できるのか、バイエル社の特許との関係はどうなのか。遺伝子でなく化合物を用いたiPS細胞誘導技術の台頭。
今年になって、さらに、iPS細胞を使わずに、繊維芽細胞から神経細胞を誘導する方法が報告された。この発表はiPS細胞の細胞治療における地位を揺るがすものである。
経産省傘下の産総研は幹細胞標準化を掲げたセンターをつくるということだが、具体的に何をするのか。
細胞や組織を取り扱う企業にはベンチャーが多い。JTECやリプロセス(未上場)等。機関投資家はこうした企業をどのように分析しているのだろうか。
国はこの分野にどのようなビジョンを持っているのか。
当研究所はヒト由来細胞の制御技術や用途技術について広く調査を始める。

2010年2月7日日曜日

送電システム

トーマス・エジソンが開発した直流送電システムが世界最初。(1880)
ニコラ・テスラ(クロアチア)交流用誘導モーター(1887)
ドブロウォルスキー(ロシア)三相交流用誘導モーター(1887)
交流送電は高電圧/低電流とすることで長距離送電時のエネルギーロスが小さいのが特徴。
日本は最初都市部に直流式送電システムを導入(1891)
しかし、交流式送電に切り替え。
市内配電(1899)-近距離送電(1907)-遠距離送電と発展。
明治30年代は石炭価格上昇から、水力発電が注目。
1938年に成立した電力管理法によって現在の配電サービスが確立。
産油国政情の不安定や化石燃料の枯渇問題から、サンシャイン計画等の国家プロジェクトで太陽光発電技術が開発。
21世紀になると、太陽光発電、風力発電ビジネスが本格化。
2008年~2009年にはメーカー株価にも反映。例えば、シャープ、パナソニック、三洋電機、日本風力開発等。
2010年になるとスマートグリッドが注目。
日本碍子(NAS蓄電池)、住友電気工業(超伝導ケーブル)、東芝(電力効率化制御)等。
当研究所は潮力発電技術について、調査を開始。

2010年2月6日土曜日

脱化石燃料の世界

自然エネルギーと原子力によってユビキタスに生産される電気がスマートグリッドで分散利用される30年後の世界。飛行機などの大陸間移動手段はどうなっているだろうか。
水素やバイオディーゼル等再生可能エネルギーによって飛行機を飛ばすのか、あるいは、超高速リニアモーターカーなどの大規模インフラが整備され、陸路で大陸間を移動できるようになっているか。
陸路の場合は、世界の主要都市の分布が大きく変わることが予想される。例えば、わが国では、大陸に近い北海道がロシア、米国の玄関に変わる可能性がある。
再生可能エネルギーの利用が普及する場合は、農業の社会的意義が変わる。現時点では、こちらのシナリオのほうが現実味があるだろう。
再生可能エネルギーが飛行機等限定的になれば、わが国も国産エネルギーだけで補える可能性もある。こうした可能性が具体的に試算されれば、世界のパワーバランスが大きく変わることも考えられる。
これから先の、50年間、技術動向から眼が離せない。

パーソナルモビリティビークル

トヨタ、ホンダ等の車会社に加え、多くの企業が市場の形成をにらんで準備をしているパーソナルモビリティビークル(ここではPMVと略させていただく)。
当研究所はPMVは携帯電話と同じくらいに人の生活スタイルを変える可能性を感じている。例えば、これまでのカーライフは一変するに違いない。駐車場のあり方も変わるであろう。住宅も必ずしも駅近が好まれなくなるかもしれない。坂の多い地域も居住性がよくなるだろう。
PMVの安全性や直感的制御性の設計が大きな課題だ。また、価格は自転車なみでないと生活を変えるまでのインパクトはないだろう。
PMVの開発はまさにモーター、バッテリー、素材、人間工学、等のオープンイノベーションである。
当研究所はこの分野の開発・製品化動向について調査を続けていく。

投資環境の整理

世界経済環境
 金融→制御下で想定内の変化
 GDP平均→約4%台の成長

国内株価の上昇条件
 1)円の上げどまり
 2)設備投資の底打ち

見通し
 2010年第3四半期頃からの回復か。

2010年2月5日金曜日

産業ニーズの調査方針

当研究所では産業ニーズの調査にあたり、中国やインドの産業ニーズに重点を置いている。特に、インドの市場は中国を追いかける形になっているため、中国を見ながらインドを考えることによって、インド市場の先取りが可能になるというモデルで取り組んでいる。
インドの産業ニーズを先取りできれば、インドに進出している日本企業の業績を事前に予測できるに違いない。

グローバルニッチ

2008年まではカーボン電極製造技術が注目されていた。2009年は二次電池が注目された。さて、今年は何が注目されるか。
当研究所ではグローバルニッチビジネスに強い技術ではないかと考えている。日東電工は接着技術や液晶フィルムなどでグローバルニッチビジネスを掲げている。接着技術はあらゆる産業分野で有用であり、また、発展途上国でのニーズは大きい。当該企業はインドへの進出ということで、今後さらに伸びるのではないかと期待している。利益率の高さからも当該企業の技術が優れていることがうかがわれる。
前日の株価は3420円であった。半年後の株価が楽しみである。

2010年2月4日木曜日

電気自動車普及シナリオ

電気自動車(EV)が注目され始めている。モーターとリチウムイオン電池と車体からなる。三菱自動車や日産が自治体と組んで生産から導入までを進めている。昨年の早い時期から株価にも反映され始めているが、当研究所としては別の普及シナリオを考えている。
電気自動車の普及は電気の供給インフラ整備が不可欠であり、実用的なインフラができるまでの時間の読み方によってEV普及までの時間が大きく変わる。当研究所は、インフラ整備がかんたんには進まないという仮定をおいて、EV普及シナリオを考えた。
EVの構造がかんたんであるという特徴に眼をつけると、例えばセグウェイのようなこれまでにない移動用機械をいろいろ開発できる。高齢者向けから遊びまで含め、街中や建物内での移動スタイルに大きな変化を起こすような製品を開発するようなベンチャーが現れるのが本格的EVの前に起こるのではないかと想像する。(介護用パワースーツの開発より容易で市場形成も早いだろう。)
モーター市場は、したがって、こうした市場向けに売り上げを伸ばし、インフラ整備後にEV向けモーター市場が伸びるというような2段階構造になるだろう。
新しい乗り物について政府は法整備を進めるべきだろう。先駆的な法整備はイノベーションを加速する。日本政府はバイオディフェンス等の市場を人為的に作った米国を見習い、創造的製品が市場に出やすい環境の整備を考えるべきだろう。
研究所では電気駆動の新しい乗り物ビジネスを考えている企業の調査を開始しているところである。

将来のエネルギー

20年ほど前は石油の次は天然ガスと考えられていた。しかし、今は送電システムを大きく見直し、エジソンの発明以来続いてきた一局大規模発電-長距離送電システムから、ユビキタス小規模発電を中心とするスマートグリッドへの移行が検討されている。
長期(5年-10年)投資を考えると、このスマートグリッド関連事業は有望と思われる。
電気自動車の蓄電池はスマートグリッドに組み込まれることを考えると、電気自動車の普及はスマートグリッド関連事業への投資タイミングをはかる指標のひとつになるだろう。
電気自動車の心臓部はモーターと電池。電池市場は技術競争と価格競争が混在しており、メーカーも多数存在する。しかし、自動車用モーターは電池市場ほどの状況にはいたっていないだろう。研究所としては、そういう視点でモーター市場に注目している。
国内では、日本電産、明電舎、安川電機などいくつかのメーカーが開発に取り組んでいる。日本電産はHDDのモーターを世界的に提供しており、株価は順調に上昇している。他方、明電舎や安川電機の株価は過去の株価よりは低いレベルで推移している。
本研究所では、したがって、明電舎や安川電機の株価を電気自動車-スマートグリッドの指標にしていくことについて、さらに検討中である。

2010年2月3日水曜日

研究所開所

本研究所は「産業の芽」を発掘し、その将来性について研究するために設立された。研究成果を投資に活用し、その収益の大きさによって研究成果の価値を評価する。
本研究所の目指すところは、さまざまな産業の芽の発展方向推定モデルの検証から、投資の新しい原理を導きだすことである。
本ブログは不定期に研究成果を公表する場として位置付ける。
本ブログの情報に基づき、読者が自らの責任において投資活動を行うことは自由である。
この自由な投資活動によって研究成果の価値は不特定多数の読者によって検証されることを期待している。
今後とも技術ベクトル研究所をよろしくお願いいたします。

所長より