2010年2月28日日曜日

産業別生産効率

産業別生産高を産業別人口で割った値を比較した。
第一次産業:第二次産業:第三次産業=1:8:16
第一次産業は生活になくてはならないものであるが、収入が低く、産業の継続性が懸念される。しかし、製品に付加価値をつけてコストをあげても消費者に受け入れられない。生産効率を100倍に向上1できる技術を模索してみるのはどうか。
植物工場の発展に期待したい。また、栽培漁業の生産性向上に期待したい。

ノースシー・グリッド計画

ウォールストリートジャーナルによると、欧州北海沿岸9カ国はノースシー・グリッド計画(3兆7000億円)を進めるとのこと。自然エネルギー発電による電力供給を6000kmに及ぶ送電網で国境を越えて共有する。また、ドイツ中心のデザーテックプロジェクト(50兆円)は北アフリカの有効活用として太陽熱発電パークを作り、2050年までに欧州の電力の15%を補う計画もある。
背景は火力発電所の老朽化。今後の10年間で30%の電力が失われる。2020年までに全体の20%を再生可能エネルギーにする目標も立てている。
国内に目を向けると電気事業法がスマートグリッドの障害になっているという意見もある。電力事業会社の大きな抵抗もあって不思議ではない。もし、従来の事業主を重視するのであれば、事業主が再生可能エネルギーの供給にもっと投資をするべきだろう。当研究所は潮力発電、海流発電などの開発を進めるべきと考えている。

アノマリーの活用

日経ヴェリタスに学ぶアノマリーの活用
当研究所は年2回投資パイプラインの利確、見直しを行っている。
経験的に春と秋は株価低迷の時期であるため、春と秋に買い、夏と冬に売りのサイクルがもっともよいと考えている。アノマリーの観点から、これは妥当らしい。
日経ヴェリタスによれば、よく知られたアノマリーがあるとのこと。(以下一部参照)
1)寅年は株価が低い→中長期の投資に適
2)3月と秋は円高ドル安→円高だと株価が下がる→投資のタイミング
3)企業規模は小さいほうが株価は上昇→単価低、発行株数大が望ましい。

市場環境の整理(2)

当研究所が描く、低炭素社会を前提とした変化

社会インフラの大きな変化(数十年の波)
エネルギー供給の方向性:大手電力メーカーの衰退。
家庭は太陽光発電と蓄電でまかなえるようにすることを基本に、不足分だけを大手電力メーカー、あるいは地域の小中規模の電力メーカーから買う仕組みが将来の姿。

通信:有線から無線へ。NTT事業モデルは衰退。大容量高速通信網が日本全国を網羅した状態が将来の姿。モバイルで世界がつながる。

情報:通信基盤の充実とともに情報のフラット化がよりいっそう進む。自動車のナビゲーションは通信で。情報サービスはより高度な情報提供か、情報統合による付加価値が求められる。

材料:脱石油。高分子合成のためのC1化学が重要。生合成技術も大きく求められる。

食品:電力を活用した土地の生産性向上技術。

医療:治療市場が縮小し、予防市場が拡大。

交通:電気中心の社会であれば、電車、電気自動車が中心。また、情報のフラット化によって長距離移動のニーズが限定的になる。

この1年の波
各国の出口戦略の結果が現れる。電池産業の回復。中国、インド向け公共事業用高機能材料需要の回復。住宅着工件数の回復に伴い、省エネ技術市場が拡大。

2010年2月25日木曜日

高機能化がキーワード

町に眼を向けると、今年の製品は高機能化がキーワードになっているようだ。
衣:高機能繊維、軽量、保温、冷感、等
食:プロバイオティクス、医食同源、
住:スマートフォン、省エネ住宅、

生活に眼を向けると、今年は手帳が人気だ。自分の目標管理、自己実現意識が高まっている証拠だ。個人の起業意識も高まっている。社会人のセカンドスクールがはやっている。副業もはやっている。キャリアパスが見えにくい中、心の病にかかっている人は100万人以上とも言われており、心を励ます内容の本が売れている。

つづく

2010年2月24日水曜日

核酸医薬開発

核酸医薬はさまざまである。アンチセンス、アプタマー、デコイ、そしてsiRNAやmiRNA等があげられる。RNA干渉が発見された頃は抗体医薬とともに核酸医薬は脚光を浴びた。しかし、デリバリーの難しさと、費用対効果の側面から今は沈静化している。ただ、癌等の治療薬として、また、眼の疾患等薬物動態がシンプルなものは依然として期待されている。
核酸医薬の研究開発動向をみると2003年を底に2009年まで増加している。しかし、開発の進捗をみると開発後期にあるものは極めて少ない。
基盤技術として、核酸医薬の開発支援を考えるならば、低分子化合物並みのコストで、しかもGMP適合レベルで合成できる方法の開発が鍵となるだろう。国内ではジーンデザインという企業がGMP対応で核酸合成をおこなっている。

iPS細胞誘導に新手法

米国ハーバード大の日本人を含むグループが成功。肝がん幹細胞に抗がん剤2種を加えると、正常肝細胞になり、さらに、4種の抗がん剤を加えるとiPS細胞になったとのこと。肝がん幹細胞の染色体は正常でなかったのに対し、誘導されたiPS細胞の染色体は正常だったとのこと。染色体の異常の程度にもよるが、一度構造が壊れた染色体が元に戻る等ということは信じがたい現象だ。
それにしても、iPS細胞の経済効果はいまだに疑問であるし、国を挙げて騒ぐほどのことではないと理解するほうが妥当ではないか。もちろん、臓器移植を待ち焦がれている患者にとってはiPS細胞によって治療への道が開かれることは望ましいし、それを否定はしていない。
当研究所では技術の投資価値を判断することに主眼を置いている。近未来的にGDPへの貢献の度合いを見積もることがひとつの指標と考えている。iPS細胞が位置する医療市場は30兆円。しかも閉鎖的な市場で、自由競争もほとんどない世界。iPS細胞への投資はあまり魅力的でないという理解のほうが妥当ではないか。

2010年2月23日火曜日

市場環境の整理(1)

かつて豊臣秀吉は停滞した国内経済を打開するために朝鮮半島への展開を試みた。18世紀から19世紀の英国はインドに展開することで経済問題の解決を図った。
20世紀後半から21世紀、IT技術の高度化に支えられ、世界経済はグローバル化が進んだ。先進国全体でGDP成長率が低迷する症状を改善するために、BRICSというキーワードが世界で注目される状況が作られた。
中でも、中国とインドは先進国のGDP発展に寄与するための魅力的な条件がそろっていた。人口は2つの国を合わせて26億人、所得は先進国に続いて高く、携帯電話やインターネット等のIT普及率は50%に迫る。
こうした国には上下水道や電気等のライフラインの充実など、まだまだインフラ整備事業の余地がある。地球温暖化や環境破壊問題を世界のコンセンサスにすることは、先進国が発展途上国に技術を導入する動機つくりに有利に働く。
国内企業の高いインフラ関連技術が発展途上国に導入される構図ができれば、日本の成長につながる。商社などが活躍する場面はまだまだこれから本格化するのではないか。
国内に眼を向けると、民主党政権下、住宅の断熱効率や太陽光発電の効率などの環境対応基準つくりに力を入れている。したがって、こうした技術の底上げと価格競争力を磨く動きがこの1,2年の間に起こるだろう。

2010年2月21日日曜日

レアメタル

レアメタルの使途:
パラジウム(コンデンサー):携帯電話
リチウム(電池):電気自動車、パソコン、携帯電話
ニッケル(電池):電気自動車
白金パラジウム(触媒):排ガス浄化
モリブデン、ニッケル、クロム(特殊鋼):飛行機、自動車
タングステン:超硬工具
エルビウム:光ファイバー
希土類(永久磁石):モーター
ガリウム:半導体材
レアメタル代替:
インジウム→酸化亜鉛
ネオジウム→フェライト(三菱電機)
希土類触媒→鉄触媒
ITO電極→カーボンナノチューブ(東レ)、グラフェン(富士電機)
レアメタル回収:
都市鉱山

2010年2月20日土曜日

民間宇宙開発技術

ウォールストリートジャーナルのコラムに学ぶと、宇宙開発への投資が活発化しているとのこと。国レベルでの活動だったものが、企業や個人が投資を受けてかかわれるようになってきているとのこと。ロケットを飛ばすことは一見高額であるが、その多くはシステムの維持管理費で、燃料費等は全体の2%程度。何回飛ばそうがそれほどコストは変わらないのだそうだ。
民間が多く利用すれば、一回あたりのコストは相当に下がり、政府としてもよい収入になるかもしれない。
数百万にのぼる小惑星にはレアメタルやプラチナ等がいわば無尽蔵にある。アバターもそんな時代が舞台になっていた。
ロケットが飛行機のように飛び交う時代は数十年先かもしれないが、それまでの時間にメリットとリスクを研究しておく必要は誰も否定しないだろう。
あまりに先の話ではあるが、地球上の資源に依存したパワーバランスは変わるであろう。もし、民間の宇宙資源開発事業によって小惑星の軌道が変わり、地球にぶつかるような危険が発生したら、どう対処するのだろうか。
期待より、不安が大きい。

2010年2月19日金曜日

3D映像技術

昨年からにわかに3Dへの関心が高まっている。「アバター」のヒットはそれが市場になることを証明している。国内のTVメーカーもこぞって3D映像技術の開発を始めている。
3D映像技術は見る側を主役にし仮想空間を疑似体験させる目的には最適である。例えばファンタジーやネイチャーをテーマにしたものは3Dの効果を存分に発揮できることが容易に想像される。しかし、映像にはメロドラマのように3D化がその価値に影響しないものもたくさんあるだろう。映画は観覧している間は一人一人が見るものだから眼鏡を使った3D技術で問題ない。他方、TVは明るい部屋で皆が語り合いながら楽しむ場合が多いと思われるので、眼鏡は違和感があるだろう。シューティングゲームや体験型ゲームの3D化は急速に広まってもおかしくない。国内ではナムコ、セガ、任天堂、ソニー等がこの市場をどのように創造するか、注目していきたい。

2010年2月18日木曜日

バイオガソリン

日経新聞によれば、新日石は1000店舗あるバイオガソリン供給所の数を2010年には2000店舗に増やし、環境配慮でガソリンの需要を掘り起こす方針とのこと。環境配慮が売り上げに反映しうる商品差別化要素になったことはすばらしい。20年前には有識者の間では語られてはいたが、マーケットに反映されるようになったことは感慨深い。
原油消費は原油価格の上昇で2005年をピークに減っている。現在は99年のレベルだ。バイオガソリンはマーケットが縮小する中、競合他社への優位性に使われていると考えると、投資としては魅力が小さい。

2010年2月17日水曜日

小売業と農業の提携

日経新聞によれば、吉野家Hが農家と共同で横浜市に農業生産法人を設立し、牛丼用のたまねぎを生産することになったとのこと。消費者の食の安全・安心意識の高まりに応えるものだそうだ。20年までに20以上の自治体で農業を手掛けるとのこと。このほか、ワタミ、サイゼリア、モスフードサービス、セブン・アイH、イオン等小売大手が農業に参入しているそうだ。
日本サブウェイ(サンドイッチチェーン)は農業技術ベンチャー・アニス(川崎市)の微生物製剤を農薬の代わりに使っているとのこと。アニスのような安心安全のための農業支援ビジネスも今後伸びる余地を多く持っている。アニスの農薬は日米で認可を申請中とのこと。 中国等への進出も夢ではないだろう。
休耕地が増える中、また、国民の食意識が安心・安全にシフトする中、農業は地方活性化の鍵であることは間違いない。すばらしい利益モデルが現れることを期待している。

2010年2月15日月曜日

人間と技術の関わり方

プリウスのリコール問題は、人間が技術に求める関係性が変わってきたことを象徴する事件。プリウスのブレーキは古い世代は機械の癖と感じ、現代の世代は不具合と感じた。かつては人間は機械を道具として使いこなすという付き合い方。そのために、機械の癖を知り、うまくつきあうことが当たり前だった。しかし、コンピューターが発達し、生活の中に入り込んでくると、人間はコンピューターが人間の要求に歩み寄ることを求めるようになった。小出委員によれば、駅の自動券売機もヒトの感覚にフィットしていない場合があったとのこと。今後の技術開発には、人間の受け取り方を重く見る必要がある。(NHK朝のラジオ、小出五郎解説員の解説より)
こうした事例は、ユーザーインターフェイスという領域に含まれるかどうか定かではないが、社会の感覚の移り変わりが知らないうちに進むことへの不安というものをニュースから感じた。
技術というものがヒトの下にあるものという感覚から、ヒトと同等に位置づけられる感覚に遷移した。まさに、SFで描かれてきたヒトとコンピューターの関係性が現実のものになっている。ターミネーターという映画ではロボットやコンピューターに支配される人間社会への不安が描かれていたが、それは10年後の私たちの世界を予見しているのかもしれない。
他方、人間と自然との関係について人間の思想も変わってきている。アバターという公開中の映画は、自然と人間社会が情報やエネルギーを共有しながら1つのシステムとして維持される世界と、その価値に気付かない人間社会とがうまく描き出されている。
技術ベクトルをどのように捉え、受け止めればよいのか、当研究所の大きなテーマである。

2010年2月11日木曜日

GDPを牽引する市場テーマ長期予想(1)

■ 当研究所による市場テーマの予想
 2010年~2015年 蓄電池を用いたさまざまな製品および部品(国内外)
 2012年~      浄水装置および技術 (発展途上国向け)
 2013年~2020年 エコ住宅および材料 (国内)
 2015年~2020年 診断、疾患予防サービス (国内)
 2017年~2025年 農地提携ビジネス (海外)
 2020年~      電気自動車 (国内外)
 2030年~      スマートグリッド(携帯電話普及の経過と類似) (国内)

■ 当研究所の2010年の活動
 投資パイプライン:(1)日東電工、(2)明電舎
 研究開発段階の調査テーマ:(1)診断および疾患予防技術、(2)スマートグリッド要素技術

蓄電池用資源の値上がり

ノートパソコン、高機能携帯電話、自動車、太陽電池など蓄電池を必要とする製品の販売数拡大に伴いコバルト、カドミウム、インジウム、ネオジウムなどのレアメタル、ミッシュメタルなど希土類の価格が直近安値から1割から3割上昇している。
ついでに半導体シリコンの需要も増大している。企業のパソコン買い替えの時期に入っているらしい。
(ここまで日経新聞参考)

2010年2月10日水曜日

オイルマネーで農地買収の動き

サウジアラビアをはじめとした湾岸産油諸国が将来の食料確保のためにアジア諸国の農地の買収に動いているとの話がある。長期的にみれば、これは植民地政策にも見られかねず、注意が必要であるが、短期的にはアジアの発展途上国にオイルマネーが流入し、アジアの生活レベル向上が加速するのではないか。よく考えれば、短期的には日本企業の市場拡大と考えることができるかも知れない。
当研究所では農業を軸とした新規ビジネスが立ち上がってくるのではないかと調査を開始しているが、オイルマネーが引き起こす農地争奪戦がそれだとすると残念だ。

欧州の電気自動車動向

NHKニュースによると、EUは9日、各国の産業相などが出席して、電気自動車の将来について議論する会議をスペインのサンセバスチャンで開いた。会議のあとの記者会見で、EU議長国、スペインのセバスティアン産業相は「電気自動車はヨーロッパの環境や経済、雇用にとって大きなチャンスだ」と述べ、電気自動車を経済成長の原動力として、2020年までの政策の柱に位置づける考えを明らかにした。そのうえで、世界的な競争を勝ち抜くためとして、電気自動車の共通の規格作りや、自動車の充電のためのインフラ整備、普及を後押しするための補助金の制度などについて、EUの執行機関に当たるヨーロッパ委員会が来月中に具体的な戦略をまとめるとしている。電気自動車をめぐっては、日本や中国の大手自動車メーカーがことし相次いでアメリカ市場に参入する方針を示しており、ヨーロッパの自動車メーカーは後れを取っているとして巻き返しをねらっているとのこと。
国内では電気自動車市場は地方自治体への導入から始まっている。インフラの整備も抱き合わせになることから10年~20年程度先の市場となろう。

ヒト万能細胞から生殖細胞作製 容認へ

日経新聞によれば、文科省がヒト万能細胞(ES細胞、iPS細胞)から生殖細胞を研究用として作製することを認める指針案を出した。ただし、受精は禁止している。パブリックコメント45件のうち、41件は生殖細胞作製容認の立場だったとのこと。
別に、日経のアンケート調査では、先端医療は期待より不安が大きいとの結果もある。文科省にはいったパブリックコメントは果たして国民の認容性を代表しているのだろうか?
当研究所は産業技術の展開方向を見る立場から、文科省の指針に対し、賛成も反対もない。ただ、産業技術として生殖細胞作製技術をどのように捕らえればよいのか、道のりは長いと見ている。

12月機械受注統計の結果

本日発表された12月機械受注統計は先月比で市場関係者の予想を上回る約20%増加した結果が出され、景気回復の兆しを裏付けた。あとは、現在89円台後半にある円対ドルが円安に向かうことで、平均株価の上昇が期待できる。そのためには、欧米の金融環境の回復が待たれるところである。
当研究所では、今がある意味、底値ということではないかと見ている。

2010年2月9日火曜日

特許09年国際出願件数

日経新聞によれば、世界知的所有権機関(WIPO)が2月8日に発表した特許の国際出願件数速報では1891件を出願したパナソニックが企業別順位で1位になったとのこと。
家電を多く扱う業界は特許が多いのが特徴。
近年の先端的ビジネスでは特許以外の知財防御法も活用されており、知財のあり方は今後議論を呼びそうである。

富士フィルムが後発薬参入

日経新聞によると、富士フィルムHは三菱商事と新会社を設立し、今春200品目の販売を開始するとのこと。富士経済は政府の普及策によって年8%成長が続くと予測している。同社もこの成長環境下、需要開拓を進めていく様子。
連結売り上げ高2兆4343億円のうち、医療事業が2698億円。4月より後発薬の販売を開始。
当研究所としては、後発薬よりも予防や診断事業が今後大きく拡大していくとみている。後発薬は現時点では成長市場であるが、数年で落ち着くのではないか。
他方、新薬の定義から後発薬の新しい薬効や配合は新薬となることから、後発薬から新薬を生み出す動きが製薬各社で活発になるのではないかとみている。2010年問題はその契機になるだろう。

中国が輸出世界一

共同通信によると、ドイツ連邦統計庁が9日発表した2009年貿易統計(速報値)で、輸出額は前年比18・4%減の8032億ユーロ(約99兆円)だった。同庁が公表したドル換算は1兆1213億ドル。既に公表済みの中国は1兆2016億ドルで、前年まで首位のドイツを上回り、初めて輸出世界一の座が確定した。中国には、日米欧の主要メーカーが低コストの生産拠点として進出を続けており、「世界の工場」として躍進、存在感が一段と高まった。中国は09年の国内新車販売台数でも米国を抜いて首位。10年の国内総生産(GDP)総額で、現在世界2位の日本を超える経済大国になるとみられている。欧州最大の経済規模を持つドイツは03年以来、輸出首位の座を維持してきたが、09年は金融危機の影響で欧州諸国向けなどが落ち込んだ。
当研究所では、欧米経済が復調していく過程で、再び中国を抜く可能性は高いとみている。国内でも景気が悪くなると価格の安い企業の売り上げが伸びる傾向がある。中国がこのまま勢いを増すのか、欧米の巻き返しがあるのか、見守っている。

2010年2月8日月曜日

機械受注統計の意味

2月10日は機械受注統計が公表される。これは主要機械メーカー280社の機械受注実績を集計したもの。中小機械メーカーの実績は反映されていない。機械受注は設備投資に対して先行性がある。したがって、この先の投資環境を予想するうえで重要な指標となる。
本統計にはIT機器は含まれていない。第3次産業の比率が高いわが国の投資環境を予測する上で、本統計をどのように利用していくか、検討の余地が残されている。

景気ウォッチャー

昨年から株価は企業業績より経済指標の影響をより強く受けている。景気ウォッチャーはそのひとつ。DIの変動と平均株価は2から3ヵ月位相がずれているとのこと。本日発表になった景気ウォッチャーによれば、DI の底は11月。12月、1月と2ヶ月連続で回復が見られる。
この情報に基づけば、平均株価は今月か来月には上昇トレンドに転ずるかもしれない。

個別化医療

本日の朝のNHKニュースで理化学研究所の鎌谷先生らのグループがゲノムの違いで健康指標の正常値が異なることを見出したとの報道があった。
健康診断のあり方が変わると、例えば、人はみな自分のゲノム型を把握しなければならない社会がくる。
今後の医療ビジネスは健常人に対するサービスをいかにつくるか、という傾向がすでに現れている。現在は国内6千億円の成熟ビジネスとして落ち着いている診断ビジネスは今後拡大する有望な候補だ。富士レビオ、SRL等国内の大手企業から目がはなせない。

細胞治療

一昨年、昨年はiPS細胞がバイオの目玉だった。久々の日本人による世界的な成果。特許はどうするのか。国も特許の取得を目指し、巨額の投資を行った。
当研究所では、しかし、国の過熱気味な対応には疑問があった。当初より京都大学が基本特許を獲得できるのか、バイエル社の特許との関係はどうなのか。遺伝子でなく化合物を用いたiPS細胞誘導技術の台頭。
今年になって、さらに、iPS細胞を使わずに、繊維芽細胞から神経細胞を誘導する方法が報告された。この発表はiPS細胞の細胞治療における地位を揺るがすものである。
経産省傘下の産総研は幹細胞標準化を掲げたセンターをつくるということだが、具体的に何をするのか。
細胞や組織を取り扱う企業にはベンチャーが多い。JTECやリプロセス(未上場)等。機関投資家はこうした企業をどのように分析しているのだろうか。
国はこの分野にどのようなビジョンを持っているのか。
当研究所はヒト由来細胞の制御技術や用途技術について広く調査を始める。

2010年2月7日日曜日

送電システム

トーマス・エジソンが開発した直流送電システムが世界最初。(1880)
ニコラ・テスラ(クロアチア)交流用誘導モーター(1887)
ドブロウォルスキー(ロシア)三相交流用誘導モーター(1887)
交流送電は高電圧/低電流とすることで長距離送電時のエネルギーロスが小さいのが特徴。
日本は最初都市部に直流式送電システムを導入(1891)
しかし、交流式送電に切り替え。
市内配電(1899)-近距離送電(1907)-遠距離送電と発展。
明治30年代は石炭価格上昇から、水力発電が注目。
1938年に成立した電力管理法によって現在の配電サービスが確立。
産油国政情の不安定や化石燃料の枯渇問題から、サンシャイン計画等の国家プロジェクトで太陽光発電技術が開発。
21世紀になると、太陽光発電、風力発電ビジネスが本格化。
2008年~2009年にはメーカー株価にも反映。例えば、シャープ、パナソニック、三洋電機、日本風力開発等。
2010年になるとスマートグリッドが注目。
日本碍子(NAS蓄電池)、住友電気工業(超伝導ケーブル)、東芝(電力効率化制御)等。
当研究所は潮力発電技術について、調査を開始。

2010年2月6日土曜日

脱化石燃料の世界

自然エネルギーと原子力によってユビキタスに生産される電気がスマートグリッドで分散利用される30年後の世界。飛行機などの大陸間移動手段はどうなっているだろうか。
水素やバイオディーゼル等再生可能エネルギーによって飛行機を飛ばすのか、あるいは、超高速リニアモーターカーなどの大規模インフラが整備され、陸路で大陸間を移動できるようになっているか。
陸路の場合は、世界の主要都市の分布が大きく変わることが予想される。例えば、わが国では、大陸に近い北海道がロシア、米国の玄関に変わる可能性がある。
再生可能エネルギーの利用が普及する場合は、農業の社会的意義が変わる。現時点では、こちらのシナリオのほうが現実味があるだろう。
再生可能エネルギーが飛行機等限定的になれば、わが国も国産エネルギーだけで補える可能性もある。こうした可能性が具体的に試算されれば、世界のパワーバランスが大きく変わることも考えられる。
これから先の、50年間、技術動向から眼が離せない。

パーソナルモビリティビークル

トヨタ、ホンダ等の車会社に加え、多くの企業が市場の形成をにらんで準備をしているパーソナルモビリティビークル(ここではPMVと略させていただく)。
当研究所はPMVは携帯電話と同じくらいに人の生活スタイルを変える可能性を感じている。例えば、これまでのカーライフは一変するに違いない。駐車場のあり方も変わるであろう。住宅も必ずしも駅近が好まれなくなるかもしれない。坂の多い地域も居住性がよくなるだろう。
PMVの安全性や直感的制御性の設計が大きな課題だ。また、価格は自転車なみでないと生活を変えるまでのインパクトはないだろう。
PMVの開発はまさにモーター、バッテリー、素材、人間工学、等のオープンイノベーションである。
当研究所はこの分野の開発・製品化動向について調査を続けていく。

投資環境の整理

世界経済環境
 金融→制御下で想定内の変化
 GDP平均→約4%台の成長

国内株価の上昇条件
 1)円の上げどまり
 2)設備投資の底打ち

見通し
 2010年第3四半期頃からの回復か。

2010年2月5日金曜日

産業ニーズの調査方針

当研究所では産業ニーズの調査にあたり、中国やインドの産業ニーズに重点を置いている。特に、インドの市場は中国を追いかける形になっているため、中国を見ながらインドを考えることによって、インド市場の先取りが可能になるというモデルで取り組んでいる。
インドの産業ニーズを先取りできれば、インドに進出している日本企業の業績を事前に予測できるに違いない。

グローバルニッチ

2008年まではカーボン電極製造技術が注目されていた。2009年は二次電池が注目された。さて、今年は何が注目されるか。
当研究所ではグローバルニッチビジネスに強い技術ではないかと考えている。日東電工は接着技術や液晶フィルムなどでグローバルニッチビジネスを掲げている。接着技術はあらゆる産業分野で有用であり、また、発展途上国でのニーズは大きい。当該企業はインドへの進出ということで、今後さらに伸びるのではないかと期待している。利益率の高さからも当該企業の技術が優れていることがうかがわれる。
前日の株価は3420円であった。半年後の株価が楽しみである。

2010年2月4日木曜日

電気自動車普及シナリオ

電気自動車(EV)が注目され始めている。モーターとリチウムイオン電池と車体からなる。三菱自動車や日産が自治体と組んで生産から導入までを進めている。昨年の早い時期から株価にも反映され始めているが、当研究所としては別の普及シナリオを考えている。
電気自動車の普及は電気の供給インフラ整備が不可欠であり、実用的なインフラができるまでの時間の読み方によってEV普及までの時間が大きく変わる。当研究所は、インフラ整備がかんたんには進まないという仮定をおいて、EV普及シナリオを考えた。
EVの構造がかんたんであるという特徴に眼をつけると、例えばセグウェイのようなこれまでにない移動用機械をいろいろ開発できる。高齢者向けから遊びまで含め、街中や建物内での移動スタイルに大きな変化を起こすような製品を開発するようなベンチャーが現れるのが本格的EVの前に起こるのではないかと想像する。(介護用パワースーツの開発より容易で市場形成も早いだろう。)
モーター市場は、したがって、こうした市場向けに売り上げを伸ばし、インフラ整備後にEV向けモーター市場が伸びるというような2段階構造になるだろう。
新しい乗り物について政府は法整備を進めるべきだろう。先駆的な法整備はイノベーションを加速する。日本政府はバイオディフェンス等の市場を人為的に作った米国を見習い、創造的製品が市場に出やすい環境の整備を考えるべきだろう。
研究所では電気駆動の新しい乗り物ビジネスを考えている企業の調査を開始しているところである。

将来のエネルギー

20年ほど前は石油の次は天然ガスと考えられていた。しかし、今は送電システムを大きく見直し、エジソンの発明以来続いてきた一局大規模発電-長距離送電システムから、ユビキタス小規模発電を中心とするスマートグリッドへの移行が検討されている。
長期(5年-10年)投資を考えると、このスマートグリッド関連事業は有望と思われる。
電気自動車の蓄電池はスマートグリッドに組み込まれることを考えると、電気自動車の普及はスマートグリッド関連事業への投資タイミングをはかる指標のひとつになるだろう。
電気自動車の心臓部はモーターと電池。電池市場は技術競争と価格競争が混在しており、メーカーも多数存在する。しかし、自動車用モーターは電池市場ほどの状況にはいたっていないだろう。研究所としては、そういう視点でモーター市場に注目している。
国内では、日本電産、明電舎、安川電機などいくつかのメーカーが開発に取り組んでいる。日本電産はHDDのモーターを世界的に提供しており、株価は順調に上昇している。他方、明電舎や安川電機の株価は過去の株価よりは低いレベルで推移している。
本研究所では、したがって、明電舎や安川電機の株価を電気自動車-スマートグリッドの指標にしていくことについて、さらに検討中である。

2010年2月3日水曜日

研究所開所

本研究所は「産業の芽」を発掘し、その将来性について研究するために設立された。研究成果を投資に活用し、その収益の大きさによって研究成果の価値を評価する。
本研究所の目指すところは、さまざまな産業の芽の発展方向推定モデルの検証から、投資の新しい原理を導きだすことである。
本ブログは不定期に研究成果を公表する場として位置付ける。
本ブログの情報に基づき、読者が自らの責任において投資活動を行うことは自由である。
この自由な投資活動によって研究成果の価値は不特定多数の読者によって検証されることを期待している。
今後とも技術ベクトル研究所をよろしくお願いいたします。

所長より