2010年3月20日土曜日

政治家への提案

投資先について、最近は米国企業に投資したいと思うことが増えた。
米国はイノベーションへの投資と市場を同時に準備する。
バイオディフェンス:2001年のテロ以降。バイオテロ、化学テロ対策技術開発に米国が投資。環境中の細菌や化学物質を検出する装置、ワクチン、治療薬等の総合的な開発。グリーンニューディール:オバマ政権が行っている。エネルギー、環境技術の総合的開発。
これらによって学術成果も大いに上がっている。

政治家への要望と提言:
例えば政府がチャレンジングな性能を設定し、それを達成できた企業の製品を政府機関に導入するなど、市場を準備してあげてはどうだろうか。企業は必要に応じて大学への協力を要請するだろう。
医療についても、薬剤副作用の診断基準を政府が定め、その基準を満たす技術は国立病院等が積極的に導入していく等が国内バイオベンチャー市場を盛り上げるのに有効ではないか。

文化的投資と産業振興投資をしっかり区別していただきたい。例えば幹細胞研究や宇宙物理研究は文化的投資である。集中投資はあり得ない。特定の研究者を応援するならば、民間財団が行えばよい。ハワードヒューズのような財団が国内にもできるよう法整備と啓蒙活動をおこなったらいかがか。
産業振興とは太陽電池やスマートグリッド、医療でいうならば個別化医療等である。文化的投資は安定に継続的に人材育成を兼ねて広く行うべきである。産業振興は選択と集中と産業界の評価が必要である。産業振興に関わるNEDO等の委託事業の成果を大学の先生が評価することは理にかなっていない。 逆に、文部科学省等の科研費を企業研究者が評価することもあり得ないのではないか。 科研費の分類に学術用語でない産業用語が増えていることは嘆かわしい。

産業振興に関わる予算は特定の業界団体と政府がマッチングファンド等を組んで、倍の予算をもとに研究開発投資をするのが理にかなっているのではないか。その代わり、業界には何らかの利益が戻らなければならない。

2010年3月19日金曜日

3D映像技術

3D映像技術の商業化を図っているソニーやコナミの株価が上昇している。「アバター」の成功はそれらの会社の業績向上の勇気づけになっていると見られる。本日のソニーは年内高値更新である。

次世代光技術

光技術は日本が強い分野。世界に誇る浜松ホトニクス等のユニークな企業がある。
日経朝刊によれば、慶応、東芝、旭硝子等が連携し、次世代光技術の効果を体験できる住宅「ギガハウス」を5年以内につくるとの記事があった。
光技術を応援していきたい。

日米イノベーションの違い

米国政府はイノベーションの喚起が上手である。日本と米国の研究開発重点領域のつくり方を見ると、日本の場合、未来の潜在市場を想定し、具体的なユーザーが見えないテーマ設定になっているのに対し、米国の場合は新規技術のユーザーは予算を出している米国政府や軍そのものである。米国の強みは政府は予算と市場を同時に提供している点である。
日本はよい技術が開発されても、市場ができる前に資金も途絶え疲弊してしまう。政府の研究投資は市場とあわせて提供すべきではないか。
そのためには、例えば厚生労働省などの規制当局が薬の費用対効果を定義し、必要な技術開発を明示するなどの勇気が必要だ。経済産業省であれば、環境技術として認める性能を設定した上で技術開発投資を行うべきだ。
現状では開発数値目標を研究者自ら設定し、それを必要としていない企業や学者がその適切性の判断をしなければならない。
政府がもし真剣に産業振興を考えるならば、市場をつくって投資すべきではないか。

2010年3月16日火曜日

研究所業績の分析

これまでの投資成果は以下のとおり。
2007年  地球環境技術(投資信託) -40%
2008年  電池部品(炭素電極) +58%
2009年  電池(NAS電池、太陽電池) +62%

2010年  電池使用製品部品(液晶、モーター) 目標は+60%(現在は+1%)

2007年の敗因は、投資テーマとして2年早すぎたこととサブプライム問題のあおりを大きく受けたことと分析。2008年の勝因は、まさに投資テーマ真っ只中で投資をしたこと。2009年の勝因も話題になった投資テーマに、ちょうどサブプライム問題から株価が戻り始めた時期にあわせて投資したこと。
経験則から、投資テーマとして話題になったときが投資どき。複数の企業がある場合、企業ごとの投資家の傾向を過去の株価変動から予測することが有効。
今年は電気自動車が注目されているが、中国やインド市場の成長も注目されている。電気自動車の販売台数の推移をみると、まだまだ小さく、自動車メーカーの利益に影響を与えるまでに成長するのは来年以降と考えられる。自動車製品の前に電気自動車部品の市場が拡大すると考えた。他方、中国やインドでの携帯電話の普及は著しく、国内をみればスマートフォンへの切り替えユーザーの増加が見込まれる。スマートフォンの広がり傾向はすでにインターネットが普及しているアジアでも日本と同時期にきてもおかしくないと考えた。スマートフォンも携帯も液晶タッチパネルが必須だ。したがってその高い技術をもっており、かつ、アジアにもつよい企業が成長するとよんだ。はたしてどうなることか。

2010年3月12日金曜日

太陽電池は価格競争に

歴史の古い技術についてみれば、市場が明らかになってからの中国や韓国の追い上げは極めて速い。
日経朝刊に「太陽電池 アジア勢、日本進出加速」という記事があった。太陽電池は早くも薄利多売の白物家電ビジネスのフェーズに入ってくるのか。アジアなどの成長市場でも日本優勢というわけにはいかない。投資の観点からみれば、2007年ごろから始まり2009年にはもっとも上げた太陽電池銘柄の山は過ぎたといえる。GSユアサや日本碍子の株価も低迷している。二次電池についても同様か。

2010年3月11日木曜日

ベトナムの産業振興

朝のNHKラジオでベトナムの産業振興の難しさが解説されていた。企業経営者には先端技術の情報は入らないし、入れようという前向きなゆとりもない。そのため、品質の競争力が劣ってしまう。ベトナムの産業全体がそんな状態であるから、中国に追いつこうとしても相当に時間がかかる。
国レベルでの産業振興速度を正確に見積もれれば、投資先選定の確度もあがるというもの。当研究所はベトナムの事例を参考に、深く研究する予定である。

2010年3月8日月曜日

エレベーターの効率化に思う

NHKの朝のニュースで、丸の内のビルエレベーターの効率化が紹介されていた。
高層化が進む中、エレベーターのラッシュは不愉快な朝の風物詩だ。目的階別にエレベーターを配分することで、待ち時間を最小限にするプログラムを導入したビルでは見事に行列が減ったとのことだった。
今、人々の快適性は「時間とコストがかからない」方向に向かっている。言い換えると、無駄に膨らんできた経済を小さくする方向に向かっている。これは雇用のパイが小さくなることを意味しており、別の社会問題を引き起こす懸念も出てくる。
化石資源の恩恵で膨らんだ人類社会。今後、環境調和の流れの中で、雇用からあぶれてしまった人々をどう救っていけばよいのか、社会保障費用もやせていかざるを得ない中で考えていかなければならない。

振動発電報道(続)

今朝のNHKニュースで先日の振動発電の報道があった。発電装置はわずか9席の床につけられたのみ。1試合9席分で白熱電球1個を40分点灯させるさせるだけのエネルギーが作れたとのことだった。 振動発電といえば「株式会社音力発電」がある。高速道路の照明やいくつかの導入例がホームページで紹介されている。
エネルギーは常にコストとの戦い。エネルギーが濃縮された化石燃料に比べ環境に分散された希薄なエネルギーは実用的なレベルまで濃縮してから使う必要がある。環境エネルギーの有効活用にはこの濃縮分のコストが余分にかかる。
環境エネルギーを社会が受け入れるかどうかは、濃縮分のコスト負担を受け入れるかどうか。若い社長の活力とそれを支える投資家に期待したい。

2010年3月7日日曜日

平成22年3月期レポート




(1)世界市場(2010~2020)
•欧米社会のエネルギー効率化が進み、欧米経済全体が縮小。
•欧米は医療インフラの整備が進み、医療、予防市場が拡大する。しかし、この拡大分はエネルギー効率化によって縮小した市場を補うには小さい。
•一方、インドや中国では欧米の20世紀後半型の産業が拡大し、欧米はこの市場への投資や輸出に依存する割合が高くなる。
•日本は欧米に追随する。インド・中国には既存技術の輸出が増える。それらの国への販売網を持っている企業が成長する。
•アフリカはこの10年で成長するが、欧米の市場には届かない。また、中国等の企業進出が大きく、先進国のビジネスには見合わない。
(2)日本ブランド(2010~2020)
•プラント(水、発電、化学) •二次電池、燃料電池 •高機能材料(電子、民生) •自動車(電気自動車、ハイブリッド車) •超高速鉄道車両(ハード、ソフト) •ロジスティックス(ソフトウエア) •アニメーション
(3)日本固有の業態:日本技術の輸出に商社の活躍の場が広がる。

2010年3月5日金曜日

バイオ燃料の基準改定

経産省はバイオ燃料の基準を改正するそうだ。バイオ燃料は炭酸ガスを原料に作られているから燃やしても炭酸ガスを大気中に戻すだけというストーリーで価値が語られてきたが、現実には製造過程でのシステム稼働や運搬等で炭酸ガスを出している。したがって、炭酸ガスを出さないで作られているという認識は正確ではない。それでも化石燃料よりは単位熱量当たりの炭酸ガス発生量は低いであろう。そうした事情から、化石燃料に比べて炭酸ガス排出量が50%以下のものをバイオ燃料とするそうだ。
こうした場合、基準を満たすバイオエタノールの主力はブラジル産ということになってくる。ブラジルでのバイオエタノール生産事業といえば双日が目立っている。今後どうなるか。

2010年3月4日木曜日

振動発電技術

「楽天×ヴィッセル神戸 エコプロジェクト」。遊びと思っていた振動発電技術ではあるが、なるほど、こういう見せ方があるか感心し、それに投資をしたかと感心した。 
3月7日のJ1開幕戦からスタート。ホームズスタジアム神戸のサポーターズシートの一部に床発電システムを導入し、サポーターの振動を電気エネルギーに変換し、試合時の電力として活用する。「サッカーの応援で特徴的なジャンプの振動により発電を行う、サッカー観戦ならではの試み」としている。発電量はスタジアム内のパネルでも表示する。床発電システムはジェイアール東日本コンサルティングが開発したもの。得られた電気はどのように利用されるのだろうか?
ニュースに触発され、電磁誘導で発電する洋服などのイメージも広がってきた。
環境をエネルギーに変える技術は楽しさから広がるのも悪くなさそうだ。

高齢者の独り暮らし

一人暮らしの高齢者(66歳以上)は200万人を超える。一人暮らしの生活費は一般に割高。高齢者は収入が限られている上に医療費など突発的にかかる費用も多くなる。こうした高齢者が快適に、割安に暮らせるサービスにはどんなものがあるだろうか。
一人分の食事を作るのは結構割高。しかし、宅配などで頼むものは日によっては多すぎる場合もある。スーパーのお惣菜は口に合わない。こんな一人暮らしのためのサービスにはどんなものがあるだろうか。
高齢者に優しいインターネット端末(例えば、タッチパネルだけで操作できる)というものはあるのだろうか。
家をきれいに保つために何かサービスはあるだろうか。
高齢者が生きがいを見つけるのを手助けするサービスはあるだろうか。
都市と地域ではニーズに違いがあるだろうか。
一人暮らしの高齢者とWIN-WINになるサービスについて考えを膨らましてみよう。

2010年3月3日水曜日

国際太陽電池展

東京ビッグサイトで太陽電池、燃料電池、二次電池の展示会が開かれている。水素を燃料にした小型燃料電池の進展には目を見張るものがある。太陽電池は耐久性とコストが課題だ。二次電池もさまざまな形態、性能、材料のものが現れている。
標準化のリーダーは誰が取るのだろうか。あるいはノートパソコンのように製品と一体となって広まるのだろうか。どの電池メーカーがどの製品メーカーと提携するのか。すでに多くのシェアを持っているGSユアサを揺るがす企業が軒並み現れるのだろうか?

ジェネリックの流れの中で

今朝のニュースはメルクの子会社となっている萬有製薬が国内ジェネリック本格参入。このところ、新薬開発を売りにしてきた製薬企業がジェネリックに本格参入する時代に入った。
既存薬がある疾患領域はほぼすべてジェネリックに変わるだろう。なぜなら、リスクを抱えて大きな開発費をかけてジェネリックよりコストメリットのある新薬開発にはあまりにも負担が大きすぎるからだ。
では、どんな疾患領域で新薬は期待できるか。オーファン指定の疾患であろう。患者も少なく市場も小さい。ようやく治療法がなかった人々に光があたるかもしれない。

2010年3月2日火曜日

水ビジネス

「水不足」は21世紀の後半の社会問題になることが懸念されている。一般に我々が「水」をイメージするとき、飲み水を想像するが、問題となるのは、水不足による食糧不足なのだ。
地球の気候変動によって長い乾季と短い豪雨期に特徴づけられる地域が増えるとの予測がある。この予測が現実のものとなると、豪雨によって大地の養分は海に流され、長い乾季に植物が枯れるという事態になる。
水への投資を考えるならば、従って砂漠をはじめとする乾燥地帯での農業を可能にする技術を有している企業ということになるだろう。双日は大学発ベンチャー「メビオール」が開発した保湿フィルムを使ってUAEとサウジアラビアでトマトを作る試験を行っているとのこと。
農業といえば、国内ではアグリビジネスとして認知されている分野かもしれない。ラディッシュボーヤ等無農薬野菜の会員制ネット販売事業やワタミ等の契約農家による有機野菜仕入れモデル等がある。
これらのビジネスに比べて、双日が興味深いのはオイルマネーをうまく活用しているところだ。
興味深く見守っていきたい。

2010年3月1日月曜日

オリンピックにみる価値観

キム・ヨナが浅田真央に大差で勝った。美しさや構成の自然さが評価された結果だ。浅田真央はキムヨナより高度な技で演技を構成したが、評価は思ったほどではなかった。初の銅メダルに輝いた高橋大輔はキムヨナ同様芸術性の高い演技で4回転のミスを挽回した。
今、世の中が心の充足のために求めているのは高い芸術性と高い技術の融合か。製品をみると見て触って使って楽しいものが売れているように思う。ソフトバンクが売りだしたiフォンは速さと楽しさでドコモをしのぐ勢いで売れている。服はかっこいいが機能性にも特徴のあるものが売れている。 ユニクロは機能性で売り上げを伸ばしてきたがそろそろ限界に来ている。今後はそれに加えて高級感をいかに出せるか、鍵になるのではないか。

波力発電技術

伊豆諸島沿岸域で波力発電試験が始まる。波力発電の最初の特許は1799年フランスのピエールジラードらによるものだ。現在、波力発電の方式はおよそ6種類が発明されている。減衰型、点吸収型、振り子式波力変換型、振動水柱型、越波型、没水圧力差型等基本特許はほぼ押さえられている。発電コストはキロワット当たり数十円~100円程度。風力発電が数円程度であることを考えるとかなり高い。また、海が荒れた時の構造物破壊力はすさまじく、十年以上の長期にわたって壊れない設備をつくるのはまだまだ困難があるとのこと。
日本を囲む海をエネルギー生産の場として活用しない手はないが、技術革新が求められている。

疾患予防ビジネス

タニタは健康指標計測機器と管理ソフトをつなげたビジネスを展開している。こうした考えは、研究からビジネスまで世界的な傾向で、ビジネスではタニタが先行している。東大教授の板生 清氏はNPO法人ウエアラブル環境情報ネット推進機構やヒューマン・レコーダー株式会社をつくってさらに複雑な計測、解析手法を導入した健康管理システムについて産官学の研究開発、製品化、普及に努めている。
今後広がることが期待される予防ビジネス。タニタの市場の拡大が注目されるところである。