2011年10月17日月曜日

蓄電池再び

本日の日経朝刊に蓄電池の開発状況が概説されていた。
連続走行距離がガソリン車なみを実現する電池――トヨタ
電池容量を2倍近くに増やせる電極材料――マツダ
20年の長寿命を可能にする家庭用蓄電池――NEC
加速に必要な大電流を出せる新材料――トヨタ、東工大、高エネ機構
2015年から2020年の実用化を目指した開発が多い。

震災復興にスマートシティ、エコタウン計画を導入すれば大容量大型蓄電池の整備は不可欠。
すでに販売実績もある日本碍子のNaS電池の出番も期待できる。

過剰な株離れの反動が期待されるこのごろ。
蓄電池関連銘柄の株価戻りに期待したい。

2011年9月10日土曜日

政府第四期科学技術基本計画

23年8月19日に閣議決定された第四期科学技術基本計画はこの先5年間の政府科学技術予算の使途を決める重要な計画である。それによれば、とにかく復興に使うという。科学者の中には、東北の学者と組むことで予算取りを目論む者もいる。科学者は自分の利益より、真摯に復興に貢献してもらいたい。
とはいうものの、本来、純粋科学と実業はほとんど関係がない。従って、科学者は中立的にあるべき世界と、人間の営みについて、理解を深める努力を期待する。
だからこそ、うわべの理由で予算配分を決めて欲しくない。
復興を本当に考えるのであれば、科学技術予算を大幅に削ってでも復興にかけたら良いとも思う。
つづく、

2011年9月6日火曜日

外部電源のいらない電子デバイスで永久稼働

振動(オムロン、ブラザー工業、村田製作所)、圧力(村田製作所)、熱(村田製作所)、体温(村田製作所)、電波(東京エレクトロンデバイス)、音(東北大)、光(TDK、太陽誘電、村田製作所、ローム)を電力に変換する電子デバイスの用途開発が進んでいる。
住宅ビルでは、照明・空調のリモコン、セキュリティーシステムのセンサー。
自動車では、車載センサー、操作スイッチ、パンク検知センサー。
産業・交通では、ボイラー等の稼働監視、橋・道路の老朽化、震災監視。
家電では、リモコン。
医療では、心臓ペースメーカー、体内カプセル、高機能コンタクトレンズ。

塵も積もれば山となる。電気の地産地消は大電力だけでなく、ミクロな世界にも広がりそうだ。

2011年8月25日木曜日

ネットワーク依存社会の脅威

2011年6月9日のネイチャーに”Stuxnet”と名付けられたコンピューターウイルスの記事があった。このウイルスはPLC(プログラミング可能なシーケンス制御装置)を破壊する性質が付与されている点が従来のウイルスと異なるそうだ。
イランの原子力発電所の遠心分離装置の機能を破壊することが狙いだったとも考えられている。
このウイルスの登場で、国家インフラ基盤にサイバー攻撃を仕掛けることが現実のものとなったことが証明された。
これからますますネット依存の社会をつくっていこうという時に、これは大問題である。

今、起こっている技術革新は20世紀型の都市発展構造にマッチしない新しいタイプと言わざるを得ない。
技術革新の加速的進展の恩恵を受けるには、社会構造の根本的見直しを急がねばならない。

自律制御技術

近未来には自律制御型の製品が大きな市場を創りそうである。
自律制御はすでに軍事市場では無人偵察機など倍々ゲームで市場が拡大している。まさにターミネーターのスカイネットのような世界は目の前にある。
その他、自律制御によって薬剤を投与する治療デバイス、オートメーションラインでの製造の自律管理などいろいろ考えられる。
自律制御の究極は生物システムである。このシステムでは、自律性に障害を及ぼすものはアポトーシスや免疫システムによって排除する機能が働いている。
産業や社会に自律システムが導入された時、問題を引き起こす人間が自動的に排除されてしまうこともありうる。
そこまで考えると、自律制御型の社会の是非は消化不良である。

軍事市場で進行する技術革新をどのように受け止めればよいのだろうか。

2011年8月21日日曜日

投資への決意

20世紀、先進国は先端技術の優位性を利益に変える仕組みを作った。しかし、利益を効率的に得るために発展途上国の安い雇用を利用した。
先端技術開発の費用対効果が低下すると、発展途上国に対する競争力が低下した。
中国、インド、ブラジルといった比較的治安が安定してきた発展途上国に資本が流れるようになると、先進国が価値を生み出す力がより低下した。
金融市場で生み出されたマネーは発展途上国を勢いづけた。

しかし、急速に発展した国は不安定になるのは自然の摂理。そのもろさは中国の列車事故が象徴している。発展途上国の信用不安は投資マネーバブルを急速に収縮させている。

日本に振り返ると、金融至上主義にあおられながらも、企業は従来からの「ものづくり」ブランドを維持してきた。古いモデルと言われることもあるが、なんとか生きてきた。

私は日本のモノ作りが見直されることと信じ、これに投資する。

2011年8月19日金曜日

研究者の使命

吉川弘之先生は私の尊敬する科学者の1人。

8月18日の日経朝刊・経済教室に社会が科学者に求める使命に関する彼の考えが記してあった。
1)科学者は自身の専門性に責任を持たねばならない。
2)科学者は他の専門家と協力して人工物に関わる科学領域の構造を明らかにしなければならない。
3)科学者は社会の基盤にある科学領域の構造上の問題に協力して臨まなければならない。

2011年8月15日月曜日

産業革新機構の投資から見える経済産業省の産業振興の考え方

総額9000億円の官民ファンド、産業革新機構。
当初、バイオ等のベンチャー企業や世界的にも高い競争力のある国内中小企業を国際的企業にまで育てようというコンセプトで注目を浴びた。しかし、実際の投資実績は当初のコンセプトから程遠い。ここには経済産業省の国内産業振興の考え方が現れているとみる。

産業革新機構はベンチャーや新規事業の育成を11件手掛け、それに使った額は1258億円。他方、5件の事業統合を行い、それに使った額は2825億円であった。

もし、リスクの高い新規事業への投資を本気で目指すなら、11件は少なすぎるし、1件当たりの額は大きすぎる。民間の投資ファンドとリスクを分散し協調して進めることを考えれば、1258億円で1000社程度への投資は可能であろう。産業革新機構は明らかにリスクの低い企業に(比喩ではあるが)銀行の融資感覚で投資を行っている。一方で事業統合の平均は約570億円。産業革新機構は既存事業の合理化に力を入れているとみえる。

産業振興は主に市場競争力と雇用力の強化によってGDPを押し上げるものである。

一般に創業5年以下の若い企業の雇用創出力は大企業に比べ大きい。2000年以降に政策の力点だったベンチャー創出ブームは、主に雇用力の強化を目指したものだ。しかし、一定の効果はみられたものの高学歴人材の雇用不安を生みだし、その道の険しいことを皆が学んだ。

米国は投資による産業振興を行う風土であるが、日本は融資を基盤とした産業振興を行う風土である。幸い、その風土が借金大国日本の信用基盤にもなっている。

現在の経済産業省は、こうした日本の風土に合った産業振興は国内外の既存事業を国内企業を中心に統合することで市場競争力を強化することと考えているのではないだろうか。産業革新機構は官民ファンドという自らの中立的ブランドを使って競合事業の統合に舵をきっているようにみえる。

こうした動きは悪くないが、高齢化社会に向けて幅広い年齢層を受け入れる雇用力を育てることもそろそろ必要ではないか。

2011年7月5日火曜日

二次電池がテーマか

先日は日本碍子が自治体にNaS電池を納入することがニュースになり、株価を押し上げた。また、家電メーカーは家庭用小型リチウムイオン電池の販売を予告している。
夏の日中に電力制限が出された時、家庭に蓄電池があれば、3~6時間程度のエアコン電力は賄える。こうした生活スタイルは今後注目されるだろう。
マンション用も製品化してほしいものだ。

2011年6月21日火曜日

太陽光発電用蓄電システム

高島(8007)がエコパックという製品を販売している。
4月から急激に株価が上昇。
今後、注目するべき会社である。

技術トレンドも揺るがした大地震

地震は原子力発電政策を揺るがした。
この先、少なくとも5年はエネルギー供給がもとにもどることはない。

精神的な省エネ努力にも限界がある。
とすれば、上記のようなシステムのニーズが高まることは必至だ。
地震前のトレンドキーワードは、レアアース、炭素繊維、チタン等の材料だった。
ここしばらくは省エネシステムから目が離せない。

日経新聞電子版に「経産省、家庭などの節電設備導入支援 一部補助も」の記事。 以下日経を引用。


「経済産業省は、家庭や商業・オフィスビルの消費電力を制御・管理するシステムなどの導入を支援する方針だ。今年度に編成する補正予算案で、関連予算計上を目指す。来夏も電力不足が続く可能性があるため、小規模需要家の使用電力も抑える必要があると判断した。
 導入を支援するシステムは、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)やBEMS(ビル・エネルギーマネジメント・システム)と呼ばれる。IT(情報技術)などを使って自動的に家電製品の電源をオン・オフしたり、電気の使用状況を確認できるようにしたりするシステムだ。
 このほか、企業や家庭がガスを使った冷房や自家発電、住宅用太陽光発電などの設備を導入する場合、費用の一部を補助する。政府は今夏に東京電力などの管内で15%の節電を要請しているが、家庭や小口需要家に対しては強制力がなく、確実に節電するかは不透明。来夏の対策では、より節電効果の高い設備の導入促進が必要と判断した。」

2011年5月4日水曜日

日本はグローバルニッチが好き

米国は利益モデルを徹底的に研究し、利益率の高いビジネスの実現に余念がない。
日本はどうであろうか?
5月4日付けの日経新聞にその鍵が掲載されている。以下はその引用例。

村田製作所:世界で最も微細な「0402」積層セラミックコンデンサー。有機材料「ルベアン酸」を利用した高効率蓄電池。蓄電能力はリチウムイオン電池の4倍。

ニチコン草津:独自の加工技術で、日産、三菱自動車向け車載充電器を生産。研究機関用の特殊電源も手掛ける。

京セラ:多結晶シリコン型に特化、性能を競う。

オムロン:ビル省エネ化に向けた電力消費最適化システム。

島津製作所:少量の血液でガンや感染症を検査するガスクロマトグラフィー。

グローバルニッチは日本のお家芸といえよう。日本はマネのできないものづくりを一つの強みにしている。こうした領域は日本人には理解しやすいのかもしれない。また、ものづくり風土に合っているのかもしれない。

2011年3月6日日曜日

ガラパゴス

携帯電話、モバイルツールのガラパゴス化が話題になって久しい。
日本にみられるガラパゴス化はそれだけではない。

組織のキャリアデザイン。海外が横にキャリアを展開するのに対し、日本は縦。これが新規事業の創出の弊害になっているとの意見もある。

資産運用も変わっている。戦後の復興を支えたのは投資会社ではなく、銀行の力であった。投資より融資。これが日本キャッシュの原動力である。銀行マンは信用されるが、投資家はウサン臭くみられる。国内ベンチャーキャピタルは衰退の一途だ。

日本で新規産業を育成するには投資家よりも銀行と事業会社の積極的な参入が求められる。

2スピード化は経済発展のボトルネック

スイスIMDの調査では、日本の科学インフラは世界2位だそうだ。
それは経済発展にとってプラスなのだろうか?そんな疑問が沸き起こる。

インターネットがよい例である。
インターネットはこれまでの社会構造に破壊的な変化を与え続けている。
物質世界の距離と情報世界の距離のかい離が現代の法体系、治安にあけた風穴をふさぐすべを知る人はいない。

技術が進み過ぎ、社会がそれに対して大きく後れをとる構造の典型だ。

スポーツの世界に浸透する筋肉増強剤や、筋肉改造遺伝子治療等。改造人間が金メダルをとっても決して感動は得られないであろう。

そんな科学の世界においてBMI(ブレインマシンインターフェイス)が話題にのぼる。
脳の信号で機械(ロボット)を動かし、その機械の動きは脳に刺激を与える。
脳と人工物の直接的コミュニケーションは社会秩序をどう変えるのか。 知らないことが人々の不安を募らせる。

ヒトが永続的に幸福感を味わうためには、サービスと社会需要性の関係を無視できない。
社会需要性を科学の発展スピードに追いつけるすべは、歴史を概観する限り見当たらない。
となれば、科学の発展スピードを人々の理性がおさえることはできるのだろうか。

科学インフラを評価された日本は、それにうぬぼれることなく社会学的インフラの整備に力を入れるべきではないだろうか。

平成23年2月末時点の資産運用成績

平成23年1月1日比で127%

顧客優先事項の次を考える

顧客が優先する事項の未来を予想することは投資の最重要事項と考えられる。
自動車業界の例:
1)輸送手段としての信頼性
2)低価格
3)デザインやユーザビリティ(安全性、ライフスタイル適合性)
4)燃費や環境への配慮
5)電気自動車を選択するのは何故か?

パソコン業界の例:
1)ソフトが豊富であること。
2)ソフトの互換性(パッケージ)があること。
3)処理速度(複雑なソフトを滞りなく)
4)インターネットのメリットを活かす形(モバイル)
5)操作性(感性に順応、マニュアル不用)

日本が強いといわれているモノづくり業界は:
1)高品質(繊細な職人が重宝された)
2)高品質+低価格(製造業の空洞化につながった)
3)少量・多品種(ニッチビジネス)
4)発展途上国のモノづくりの競争力が日本の製品を脅かしている。
しかし、
5)製造機械、システム、工場を海外に売るというビジネスが増えてきた。
これは興味深い傾向だ。

瑞光(6279):衛生用品製造機械
スクリン(7735):半導体・液晶製造装置
ニューフレア(6256):半導体製造装置
クボテック(7709):表示装置用検査機器
ASB機械(6284):ペットボトル成型機
電産リード(6833):通電検査装置
等、、、

製造機器、検査機器は今年のトレンドか。

2011年3月5日土曜日

曲がるLSIは興味深い

日経1面:印刷技術で曲がるLSI、15年量産目指して官民共同開発。
産総研に技術研究組合
インク電子部材:住友化学、出光興産、DIC
フィルム:東洋紡、帝人
半導体製造装置:東京エレクトロン
フイルムへの回路印刷:凸版印刷、富士フィルム
電子機器応用:ソニー、東芝

これからのモバイルツール、看板、健康モニター用センサー、ロボット等用途は多い。

上記企業にとどまらず、産業のトレンドになりそう。これからの5年間、進捗を見守りたい。

2011年2月20日日曜日

回復は不動産業から

日経平均は10800円を超え、順調に回復。こんなときは大概の銘柄はどれも上げ基調である。しかし、技術銘柄は人気不人気が分かれるところであり、特にスマートフォン関係、新素材関係は難しい。東レは炭素新素材で伸ばしたが、今は盛り込み済みで、620円弱で天井に達した。チタン人気も落ち着いた。
ここから確実なのは、不動産であろうか。この業界の利益率は他に比べて高い。先週は東急不動産が年最高値をつけた。

2011年1月9日日曜日

ユニクロの不調

ユニクロの不調は国内材料銘柄の人気に影響を及ぼす可能性あり。
売買高と下値変動から、ファーストリテイリングはピークを越えたと見られる。
繊維は東レから購入しているため、東レの繊維セクターの売り上げに影響がでると考えられる。

東レの売買高と下値変動からは、東レ株価は1月7日時点ではピークに達していないと見られる。
しかし、季節がらユニクロヒートテックの売り上げは低下するであろうし、これから先は注意が必要。
東レの売り上げに占めるヒートテックの割合は大きくないが、人気という観点でどのように振れるのか。

H23年の戦略

戦闘成果を積み上げ現在の兵力を2倍にすることを目指す。

相場金言に学んだ投資の心

資産を増やすことは戦略である。
そのための投資は戦闘である。
お金は兵隊である。

どの戦地(企業)にどれだけの兵隊(お金)を送れば短期間に戦果(利益)があげられるか。
それを常に考え、決断するのが投資家。

上記の観点から、昨年は2つの決断ミスがあった。

1)撤退ミス:売買数が下げ、下値が下がり始めていたのに、撤退しなかったため、損切りのタイミングを失った。そのため、本年まで塩漬け。⇒しかし、本年は為替環境の変化とテーマとして注目度が高いことから、上げの傾向にある。戦果をあげる可能性は大きいため、戦闘継続中。

2)戦地選択ミス:新聞で今期最高益の記事を観て、戦地に送り込んだものの、後の祭り。戦闘は既に終了しており、兵隊は遊んでいた。⇒来週にも撤退命令。

部隊の縮退につながるには至らず、幸いであった。

2011年1月4日火曜日

日東電工

日東電工は1ドル=80円で見通しを発表。今後ドル高が進むことは間違いなく、この銘柄の上ブレは間違いない。楽しみな銘柄である。

炭素繊維ポリマーの報道

早速、日経新聞で車体用新炭素繊維材料の報道があった。三菱レーヨン、東洋紡、東大は新しい成形加工技術を開発。について見通しの報道があった。他社も負けていない。2013年に実用化とのこと。やはり今年は炭素繊維銘柄から目が離せない。
関連銘柄:
東レ、東洋紡、帝人、三菱ケミ、タカギセイコー

2011年1月2日日曜日

海外進出企業

四季報新年版の分析:
海外での売り上げが50%以上を占める企業は全上場企業の7.9%。そのうち48%の企業は海外売り上げの割合を前年から伸ばした。
業種でみると海外売上割合が高いのは機械、電気機器であった。これらの業種は国内市場が伸び悩んでいる一方で発展途上国での市場が拡大している領域である。
発展途上国の安い製品も現れる中で、日本の加工用機械製品は利益率が高く、競争力がまだ維持されている分野であることが確かめられた。

今回の分析の中で、特に興味が持たれたのは、
6136 OSG:炭素繊維強化プラスチック加工用工具、利益率11.6%
7722  国際計測:バランシング装置、利益率17%

これらの企業の業績が株価に盛り込まれた時期は、前回四季報が発行された9月。
しかし、企業の強さから、まだ伸びる銘柄であると考えている。

他方、上記以外の産業はいまだに国内市場の割合が大きい点が気がかりである。
今後20年間で国民の購買力は著しく低下することが恐れられている。企業の多くは、ベンチャーも含め、いまだに国内市場を中心に考えているのではないのだろうか。新規事業が軌道に乗るのに10年間を見積もるのは大げさではない。
どんどん海外に進出してもらいたい。