2012年11月25日日曜日

国際競争力にまつわるつぶやき

中国が素材生産を強化したために、素材の供給過剰と値下がりが続いている。素材分野は日本が強い分野だった。技術の老朽化に伴い発展途上国でも多くの素材が安く作れるようになり、先進国は新たな技術革新が求められている。

例えば、アルミニウムが使われていた部分を炭素繊維材料に代替し、それを国際標準にすることで市場ゲームの土俵をつくりなおそうという戦略である。

再び先進国に競争力は戻るかもしれないが、中国は経済が悪化し、購買力も低下するだろう。先進国はどこに製品を売るのだろうか。

それとも、先進国は中国に、中国はアフリカに、という流れがあるだろうか。アフリカは先進国に何を提供するのか。資源であれば、これまでも提供してきた。

不景気にならないためには、世界のお金の流れがスムーズであることが肝心だ。発展途上国から搾取した素材を先進国で回していた時代から、中国やインドが加わった時代に突入。かつての中国の位置にアフリカがくるのか。治安の整備が遅れており、必ずしも、同じではない。治安がほどほどによい環太平洋プラスヨーロッパの経済圏を活用するのがやはり現実的か。

地理的には日本はすごく良い場所にある。

今、日本の株価が上がり始めた。世界の投資が日本に戻るはじめの一歩であることを妄想している。

2012年11月24日土曜日

工学に携わる者の社会的責任

科学技術は不可能を可能にしてきた印象がある。自然から学び、鳥のような羽根がなくても、人は空を飛べるようになった。脳の機能が解明されるに従って、病気や事故で失われた感覚や身体機能を取り戻すことができつつある。細胞分化の可塑性が証明されると、再生医療の現実味が増してきた。

 他方、「刃物」に象徴されるよう、技術にはメリットとリスクの二面性がある。おいしい料理をつくるための刃物は、戦争時には武器に変わる。むき出しの刃は時として事故の原因になる。

 これまでの工学は、切れ味を例にとれば、物が切れるという現象、物と刃の物性的関係、かかる力、切るために適切な形状等を研究し、切れ味の素晴らしい刃物を作ってきた。しかし、時としてそれは研究者が望んでいないつかわれ方がされ、心を痛めてきた。

 
 期待しないつかわれ方を避けるにはどうすればよいのだろうか。工学が科学と社会のインターフェイスであるならば、そこまで責任を持つことが必要ではないか。言い換えると、技術の表現方法を様々に研究することで、メリットとリスクを明らかにする(想定外をなくす)責任が研究者に求められると思う。

 
 人の行動や心身状態の情報「ライフログ」に関心が寄せられている。うまく使うと、医療コストの削減やマーケティングの効率化や、社会的弱者にやさしい社会インフラの実現など、様々なメリットが期待できる。しかし、悪用されればストーカー行為の助長だったり、保険事業において被保険者の不利益がおこったり、人権を無視した差別等、様々な不利益が考えられる。

 技術の表現方法の研究情報と社会倫理で技術が期待される用途に導かれるよう、研究者は最後まで責任を取ってほしい。
 

2012年11月12日月曜日

暗号化の市場拡大

ライフスタイルの管理を情報技術に頼れば頼るほど、個人情報漏洩につながる。暗号化は個人の生活により浸透してくるのだろうか。

今朝の日経より「東芝は、電気の利用状況を監視する次世代送電網(スマートグリッド)を不正アクセスから守る暗号化技術を開発した。各家庭の消費電力を「見える化」した個人情報は、不在や生活パターンが手に取るように分かる。盗聴を防ぎ、普及が期待されるスマートグリッドの安全性を支える。まずは暗号の国際標準化を目指す。米ワシントンで開く国際会議で18日に発表する。

 スマートグリッドは各戸の電力使用状況を集約し、効率的な発電に生かす。新技術はブルーレイのコピー防止技術を消費電力データの伝送に応用した。インターネットで一般的な暗号化手法と比べ、計算量と通信量を7割減らせる。暗号の計算を想定していなかった電力網の機器でも専用ソフトを組み込めば暗号が使えるという。
 2012年中の国際電気標準会議で国際安全規格にしたい考えだ。」

個人情報の保護は、生活に不利にならないようにするためのルールであるが、行き過ぎれば不自由極まりない社会になってしまう。
科学者は個人情報の漏えいが個人の不利にならない社会構造について研究してみてはどうか。

Asian Aging Summit 2012

12月26日から28日までの3日間、我が国とアジア社会の高齢化とその対策について議論を交わすために各界の有識者が集う。

終末期医療や死生観についての議論が多そうだ。確かに大事ではあるが、65歳以上の高齢者40%の社会における就労形態の在り方についても議論あってもよいと思う。

アルビン・トフラーは「富の未来」のなかで世界経済は金銭経済と生産消費経済で成り立っていると説く。生産消費経済とは、商売とは関係なく好意によって他人に施すサービスである。米国民の1億5千万人はコンピューターを使いこなすという。別に学校で習ったわけでもないのに。知り合いを通じて教えあったのだ。これが生産消費経済の効果である。

家庭用プリンターの価格は下がり、性能が上がった結果、写真は自分でプリントする。これまで小売店が行ってきたサービスの一部が確実に生産消費活動に移行していることを実感する。

技術革新の結果、個人でできることが増えたのだ。中にはまねのできないサービスを施してた個人がプロに転向し、金銭経済に移行するケースもある。

第二の人生を歩む高齢者にとって、個人対個人(P2P)のサービスに自分の存在感を見出せる可能性が増大していることは魅力的である。

高齢社会にあるべき技術に思いを巡らす時、コミュニティー形成もよいが、P2Pビジネスの助けになるような製造技術、情報技術等も注目してよいと思う。

2012年9月22日土曜日

知財流通で町おこし

つくば市には多くの公的機関が集まっている。 各機関には眠っている特許が山ほどある。 おそらくは手が回らないのであろう。すなわち、事業にするには知恵がいる。 そこで、技術や事業開発に長年携わり、引退後に知恵をもてあましている全国の人々に、 これら特許の流動化を手伝っていただく策を企画したい。 給与はなしだが、ライセンスできれば、ライセンス料やロイヤルティの10%から20%を配分する。 個人の知恵を活用し、つくば市を知恵の集まる街として、世界に知らしめる。 成功すれば、全国の大学や公的機関がある街にも横展開を考える。 お陰さまで、当研究所は、そうした企画を提案できるまでに成長してきたと思う。 実現に向けて、これから活動したい。

2012年9月5日水曜日

覇権争い、新たな動き

大航海時代の植民地政策にさかのぼる、近代の覇権争い。 軍事力による力づくの帝国主義時代、 イデオロギー的覇権争いの冷戦時代、 ブロック経済による囲い込み、 基軸通貨戦略、 地球温暖化対策という名の非関税障壁 完全自由貿易 国際標準戦略 認証システムの輸出による商圏の確保 移民を使った商圏の拡大 日本はどうする?

2012年9月2日日曜日

ノーマリオフコンピュータ

ノーマリオフコンピュータ。 聞き慣れない言葉だが、究極の省エネコンピュータだ。 世界中に溢れるコンピュータの消費電力は無視できないところとなっている。 コンピュータが消費する電力のほとんどは計算ではない。記憶を消さないためだ。 現在のコンピュータは揮発性メモリ、すなわち、電力が提供されないと記憶が消えてしまうメモリが使われている。 これに対し、不揮発性メモリというものがある。 電力が供給されなくても、記憶が消えない。USBメモリなどがその例だ。 既存の不揮発性メモリは読み書きに時間がかかる。 今、世界中でスピントロニクスを応用した、読み書き速度が速く、消費電力が極めて小さい不揮発性メモリMRAMの開発競争が行われているそうだ。 このメモリが実用化されると、コンピュータは計算する時だけ電力を消費すればよく、通常は電源がオフの状態で良い。すなわち、ノーマリオフだ。電力は100〜1000分の1ほどになるだろう。 来るべく省エネ革命に投資しよう。

2012年6月24日日曜日

超低電圧技術

エネルギー供給量の限界が見えてくると、使い方の技術開発が重要になってくる。
そんな中、国家的に取り組んでいるのが、
低炭素社会を実現する超低電力デバイスプロジェクトである。大学、企業、産総研等が技術研究組合をつくって取り組んでいる。
ベルギーのIMECは早くから上記問題に取り組み、日本のエレクトロニクス企業も60社程度共同研究を行っているようだ。
また、スマートグリッド等使い方の最適化を図る技術開発にも投資がなされている。これは先の投稿であげたような問題が実現を阻んでいる。

様々な問題はあるが、エネルギーの利用効率は社会全体では相当に改善の余地が残されよう。
当研究所では、エネルギー問題はいずれ解決可能であり、悲惨な結果にはならないと楽観的立場をとっている。

イノベーションの壁

エネルギーと医療は成長産業といわれる。
エネルギーは化石燃料から新エネルギーへの切り替えるためのインフラ整備が課題だ。
原子力エネルギーの安全性に懐疑の念が蔓延している社会。
期待されるのは、大規模な発電、送電のシステムではなく、ユビキタスな発電ー消費のシステムだ。
ユビキタスなインフラは技術的には可能であるが、事業化となると別の問題を解決しなければならない。
大規模発電・送電を事業にしてきた電力会社の役割がなくなってしまうのだ。大規模な失業は社会の大きな不安要因だ。
技術開発の進展速度が想像よりも速い現代において、エネルギーインフラ整備の技術的圧力と既存企業の摩擦は急速に増して不思議はない。

医療も似た構造をもつ。
インターネットの急速な発達と社会浸透が進み、病院に通わなくても診断・治療ができてしまうⅡ型糖尿病のようなケースでは、インターネット医療の導入試験が行われ始めている。
現在、糖尿病患者の診察は一日がかりだ。行うことは、血液検査、医者の診断、処方薬の受け取りぐらいだが、患者が多く、待ち時間が長い。
血液検査も医者の診断も処方もインターネットで十分という立場の医者も少なくないが、来院数が減ると病院経営に支障がでるため、容認できない。

これらの問題は様々な時代背景のもと強引に解決された場合もあれば、時間という名の解決策に甘んじたケースもあった。

しかし、産業連関が複雑に広がっている中で、上記のようなインフラ改革は硬直してしまう。政治的にも解決できず、経済的にも解決できず、解決に必要な時間は技術開発の速度から大きな隔たりがある。

イノベーションの推進には既存事業者の不安を取り除く方策が欠かせないのだ。

2012年6月10日日曜日

技術が解決すべき課題

1)エネルギーのバランスシート管理に適したエネルギー生産技術、省エネ技術:スマートコミュニティの概念にはいっているものか。
2)引退した人々が安心して人間らしく生きることを保証できる社会を実現するための技術
3)抱え過ぎの資産を有効に利用するための見通しをつける予測管理技術
・・・・・・・・・
要するに、未来予測に資する技術開発が必要なのだ。



複雑系は不確実性に富むため、未来予測は困難とされている。しかし、複雑系の中でも生物システムには秩序がある。生物システムを構成する要素の多くは従属変数である。
社会を構成する要素も従属変数である。生物から学ぶことはこれからの技術開発において欠かせないものである。

最近の相場成績

金融市場の混乱から、技術領域への期待による投資傾向が影をひそめてしまった。アジアと欧州、そして米国の国債、株式、金等を波のように揺らめく資金の流れを感じる。

当然、我が研究所の投資成績も振るわない。

人類や地球の未来に必要な投資が行われれいないのだ。フェイスブックにみられる投資の傾向は、ソーシャルネットワーク以外への無関心さだ。

正しくない社会で繁栄することは恥だ。正しい社会で繁栄出来ないのも恥だ。これは孔子の姿勢。
当研究所は、人類の持続的成長に必要な技術開発に投資が向かうよう準備を進めるのみである。

2012年6月3日日曜日

介護技術

経済産業省では医療の質の向上を目指し、課題解決型医療機器の開発・改良に向けた病院・企業間の連携支援事業を資金的に支援している。この施策による開発成功率は他の国家プロジェクトよりもはるかに高いという。

介護事業は労働の厳しさに賃金が見合わないといわれている。もし、上記のような枠組みで、介護士の労働を軽減する製品開発ができれば、モノ造り産業と介護サービス産業の双方を活性化することになることが期待される。

いわゆるシモのお世話を衛生的で楽にする技術を開発していただける企業や研究所はないものだろうか。

2012年5月26日土曜日

健康管理ビジネス

健康管理は予測と予防に分けられる。多くの企業は健康に関わるライフログを記録させ、視覚化したうえで将来像をみせるサービスを提供する。

このビジネスのプロフィットモデルのひとつはデファクトスタンダードに基づく。最初に導入した会社に時系列データが蓄積されるため、容易には他社へ変更できない。したがって、最初の会社の選択がとても重要になってくる。

ユーザーの立場からこのサービスを見直すと、時系列データフォーマットの標準化が望まれる。電子カルテと同じである。また、データは自分のものにできるよう、強く要望することが肝要である。

2012年1月15日日曜日

拡張現実

拡張現実を実現するインターフェイス「BMI」(ブレイン-マシン-インターフェイス)

日経電子版より→「自分の体を操作ボタン代わりに使ってIT(情報技術)機器を操る技術の開発が相次いでいる。体を少し動かすだけで携帯音楽プレーヤーが音楽を奏で、腕をつつくと音量が上がる。スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)に代表される小型IT機器をいつも身に付けている時代には、自らの肉体そのものも機器の一部になっていく。」

新しい市場を制するのはどの企業か。

2012年1月14日土曜日

ギリシャ債務問題再燃

日経速報を引用すると、「ギリシャの債務減免について同国政府と交渉していた国際金融協会(IIF)は13日、交渉を一時中断したことを明らかにした。民間債権者の負担の上積みを巡り、主張が折り合わなかったとみられる。最終的にまとまらなければギリシャが無秩序な債務不履行(デフォルト)に陥り、取引のある金融機関などに混乱が広がるのは必至だ。」とのこと。

このところ日経平均は8500円付近で落ち着いてきていたが、上記の状況で、来週はまた8400円台に下がる可能性が出てきた。

国内株は日銀の投資信託買い付けが株価変動に与える影響が大きいだけに、当分の間は銘柄の業績や事業展望による差別化が見えにくい状況が続くだろう。

2012年1月11日水曜日

日銀による日本株買い

日銀が上場投資信託(ETF)を8000億円購入し、日本株の最大の買い手になったとの報道(日経Web版1月11日)。
外国人の日本株売りに対する緩衝剤になっており、資産管理上救われてはいるが、
積極的投資の面では、企業価値が株価に反映しづらくなっている。
一方で、企業の不祥事や事故による損失で株価は下がるリスクが大きい(例:日本碍子、オリンパス)。
個人投資家にとって、逆風の時が続いている。

2012年1月9日月曜日

持てる者と欲しがる者の分布が変わってきた

持てる者と欲しがる者の間でビジネスは成立する。いつの世も、全てに満たされた者はいない。何かを得れば、何かが不足する。
さて、シンクロニシティが強まる現代。マーケットの分布は国別から所得別、ライフスタイル別の傾向が強まるだろう。
TPPはそうしたマーケットの変化に対応するためには、
有利な制度になり得る。
投資の観点からは、TPPで有利になる、あるいはTPPに先駆けて準備を開始している企業に期待が集まるだろう。
鍵となるのは、ロジスティクスと考える。
当研究所は、そうした企業の発掘を進めて行く。

2012年1月7日土曜日

新しい価値観の台頭

1月1日の日経新聞から思うこと。

社会の課題に次々挑戦。2009年創業のキックスターター。集めた資金が1億2千万ドル。創業者はヤンシー・ストリックラー(33歳)。出資者は見返りを求めないそうだ。資金は夢を実現するための対価なのか。夢を実現したいが難しい。それを代わりにやるというビジネスが成り立つ時代に入ったということか。1万2千件の夢をかなえたことが実績と信用を築いている。

ノーベル賞経済学者のマイケル・スペンス曰く、世界人口の15%が享受する生活を40年後には75%の人口にいきわたる。ネット社会はシンクロニシティー(共時性)を強める傾向にあるという。

お金に変わるものの台頭。物々交換をスムーズにするために生まれた「お金」。物の価格を安定に保つために考え出された先物取引、通貨の安定のために考え出された為替の取引。やがてそれらは独立し、投資や投機が始まり、金融至上主義が生まれた。国際的に取引される金融商品は世界の金融をがんじがらめにし、共倒れリスクを高めた。現在、そのリスクは現実のものとなり、国の経済破綻を招こうとしている(いや、招いている)。

国の成長とは何なのか。GDPで比較されてきた国の成長。他方、「幸福度」なる指標を主張するブータン。昨年は国王の来日もあり、そんなブータンが脚光を浴びた。金融資産を持つことを幸せと感じた時代から、何かをやってのけることを幸せと感じる時代に移りつつあるということなのか。そうだとすると、国の成長は何で測ればよいのだろうか。

ビジネスプランコンテストに現れる20代の若者たちは、社会貢献を掲げたビジネスを提案する傾向にあると思う。GDPの高成長ふたたびの夢を描く40代、50代とは明らかに価値観が異なる。従来の物差しでみれば現在は低成長時代かもしれない。しかし、まったく違った物差しをもっている20代の若者たちは現在という時代を低成長とはまったく違った言葉で表現するだろう。

そういえば、20代の若者の時代感覚は40代、50代の中堅より、国家間の格差が小さいように思える。シンクロニシティーが強まっているせいか。