2010年11月21日日曜日

予想売上増加率と株価傾向

利益率を10%以上の企業から、予想売上増加率10%以上の銘柄49社とマイナスの銘柄48社を抽出し、今年4月から現在までの株価変動トレンドの分析を行った。
調査期間内にはソブリンリスク、米国雇用リスク、中国元為替リスク、円高リスクと経済環境の変動があった。
当研究所は上記企業の株価トレンドを、独自の分析法を用いて、1)株価上昇且つ外的影響受けない銘柄、2)株価上昇且つ外的影響を受けやすい銘柄、3)株価停滞且つ外的影響受けない銘柄、4)株価停滞且つ外的影響を受けやすい銘柄、5)株価下降且つ外的影響受けない銘柄、6)株価下降且つ外的影響を受けやすい銘柄に分類した。
結果:
(Aグループ)予想売上増加率10%以上の銘柄49社の結果:
1)9社、2)10社、3)3社、4)17社、5)6社、6)4社
(Bグループ)予想売上増加率がマイナスの銘柄48社:
1)2社、2)13社、3)0社、4)13社、5)6社、6)14社
考察:
売上増加率は銘柄選択の指標になるか:株価上昇トレンドにある企業はAグループで約39%。Bグループで約31%。そのうち外的環境に強い銘柄に限ると、Aグループで18%、Bグループで4%。外的環境に強い上昇トレンドを抽出する場合は、売上増加率は良い指標になるのではないかと考えられた。
株価トレンドに影響を与えた外的環境:5~6月に顕著なトレンド変化が見られた銘柄は全体の約50%であった。これは管内閣が発足したことと円高ドル安が強まってきた時期と重なる。また、10月にトレンド変化があった銘柄は約25%であった。これは円高に目処がつき、円安トレンドが見えてきた時期に重なる。為替トレンドが今期の株価を動かす大きな要因となっていたことがあらためて確認できた。
投資価値の高い企業:為替変動にほとんど影響を受けず、株価が上昇トレンドであった優良企業を抽出した。AグループではDrシーラボと浜松ホトニクス。Bグループでは、オリエンタルランドとホシザキ電機。すなわち、売上増加率に関わらず優良銘柄の存在が確認された。
結論:売上増加率を指標とした銘柄抽出は外的環境変動に強い上昇トレンド銘柄を絞り込むのに有用であることが確認された。しかし株価上昇トレンドと売上増加率の間には明確な関係がないことも確認され、取りこぼしも多い可能性があることも考慮しなければならないと結論付けた。