2010年6月13日日曜日

イノベーションの在り方

ものづくりでは精密加工やナノ技術など、研究者は頑張っているようだ。しかし、そういった技術は完成しても直ちには使い道がなく、使い道が見つかったころにはアジアの国々でも同じ技術がつかわれる状況にまで追いついている。再生医療に必要な細胞技術もしかり。ソーラーパネルやモーター技術も同様。
では、時間をかけても追いつけないものは何か。その答えは形の見えないもの、盗めないものではなかろうか。日本の接待ノウハウ、配送サービスの信頼性、正確性など。ほかにも、人になじむユーザーインターフェイス等。こういった無形製品を作るノウハウを教えることや盗むことは難しい。したがって、特許も必要ない。素晴らしい無形製品を有する日本の企業は多い。これを強みに世界市場に出ていくべきではないだろうか。
国内の企業は海外進出に抵抗を感じているところが多いのではないだろうか。政府はこういった企業の海外進出を支援すべきではないだろうか。

直嶋経済産業大臣はようやく法人税を下げるという方針を打ち出してくれた。外資系企業が日本にもどってくることは雇用対策の中でも即効性があるだろう。

「イノベーション」という言葉の意味は人それぞれにとらえ方が違う。多くの人は何か新しい市場をつくる技術の登場を指しているのではないだろうか。それも正しいと思うが、今、日本に求められているイノベーションは技術ではない。ビジネスモデル、もっというならばプロフィットモデルの開発ではなかろうか。
現在国内にある(物的、知的)資源を使ったプロフィットモデルについて研究すべきである。これを推進できる人材を発掘し、また、育てる環境についてもっと考えを巡らしてほしい。真の起業家は論客ではないという事実を多く見てきた。

そういえば、経済産業省傘下の(独)産業技術総合研究所の在り方についても大いに議論したほうがよいのではないか。投資した金額が大きいプロジェクトほど実用化につながってないらしい。ここがイノベーションの担い手であるならば、現在の活動は税金を有効に使っているとは考え難い。幹部にはビジネスを知らない論客ばかり。前理事長の吉川氏の「本格研究」を理解している者はいないのではないか。

民主党が無駄を省くというのであれば、2つの無駄について考えてもらいたい。
すなわち、(1)いわゆる財団や政治家の大名旅行のようなものを直ちにやめさせる。これはレンホウ議員でも可能であろう。(2)費用対効果の悪いものを改善していく。これは組織と仕分け人が一体になって考えなければならない。

研究開発投資の費用対効果の評価法を変えなければならない。すなわち、産総研、理研、大学等が国費を使って産業に資する技術開発を行った場合、その成果は産業界と予算を配分した役所が行うべきで、学者ではないだろう。評価を受ける側が評価者を推薦するなどということは論外である。