2013年7月27日土曜日

7月27日週報(ビジネス・イノベーションの兆し)

【今週の株式】
今週は日経平均株価が大幅に下落。1ドル98円台への円高に反応したとの見方もあり。中期的には、クレディ・アグリコル銀行の斎藤裕司ディレクターのコメントにもあるように「米国の量的緩和縮小が新興国に及ぼす影響を最小限に抑えるためにも、日本は積極緩和を求められる。円安を容認する結果だ」。3カ月後には1ドル=105107円まで円安が進むとみる。日本経済は上向きであることを考えると、個人投資家は買いのタイミングを図る時期と心得た方がよさそうだ。

 

【日本企業のグローバル化が本格化】

●グローバル化により縮小する国内流通業界。

・日通、希望退職800人募集 営業・事務社員対象に。産業向け物流は部品のアジアを中心に海外調達が広がる中で、国内流通業界は過剰気味。

・日立物流の4~6月、営業益4割減 車部品が低調。

●外人の採用枠が拡大

流通業界の動向からもわかるように、海外での事業展開は拡大している。その結果、特に幹部候補として育成するためのグローバル人材の需要は高まっている。日本経済新聞が人材仲介大手10社を対象に調査したところ、海外大学の新卒の外国人を今春採用した企業数は延べ200社を超し、採用人数は前年より約5割多い1千人に達した。

新卒外国人採用増やす 東芝3割増、ローソン2.4倍。

・東芝は今春、前年より3割多い58人を海外の大学から採用。東南アジアの有名大を中心に採用数を前年より13人増やした。

・ローソンは日本の大学への留学生を含めて同2.4倍に増やした。

・NTTコミュニケーションズは国内大学への留学組も含めて今春32人を採用。うち6割が海外大出身で、初めて留学組を上回った。

・海外大卒人材を扱う人材仲介サービスが拡大。人材大手のリクルートホールディングスでは、今春までに紹介を依頼してきた企業が80社と前年より3割強増えた。 

・三菱化学は今年から海外大の外国人新卒採用を本格的に始め、4人を採用した。

・ソフトバンクは2014年卒から海外大を出た外国人の新卒採用を本格化する方針。

・KDDIでは今年、外国人採用が前年比7.6ポイント上昇の14.8%に増加。


【新規市場が見えてきた!】

●日本電産、掃除ロボ用モーター 6割小さく。タブレットPC市場の拡大でHDD市場が縮小。HDD用モーターで競争力をもつ日本電産はモーター技術を応用して年率2ケタ上昇をつづける掃除ロボット(250万~300万台)の世界市場に参入する。

●声や手での情報機器操作:IT機器の形状や利用場面が多様化するのに伴い、求められる情報入力の技術も変化。キーボードやマウスを使わない新技術の普及が加速、競争が激化。

・インテルは傘下のベンチャーキャピタル(VC)インテルキャピタルを通じ、1億ドル(約100億円)の「パーセプチュアル・コンピューティング・ファンド」を設立。今後2~3年にわたって、声や手の動きに加え、顔認証や感情の検知などにまつわる技術を手掛けるベンチャー企業に開発資金を供与。インテルは手の動きでパソコンを操作できる技術を開発しているイスラエル企業、オメクインタラクティブも買収した。買収額は非公開だが、4000万ドル程度とみられる。

・アマゾンはスマホを声で操作するアプリ(応用ソフト)を開発している英Evi(エビ)を買収。買収額は3000万ドル程度。同社は米アップルのスマホ音声操作機能「シリ」と同様のサービスを提供し、世界で100万人以上が利用。アマゾンはEviの技術を自社で開発・販売するタブレット(多機能携帯端末)などに取り込むとの見方が出ている。

・ヒューレット・パッカード(HP)は米リープモーションと提携。同社は米航空宇宙局(NASA)出身者らが2010年に設立し、手の動きでパソコンなどを操作する技術を開発。HPは自社のパソコンなどにリープモーションの技術を搭載することを検討。

・マイクロソフトが10年に家庭用ゲーム機を対象とした「キネクト」を実用化。声やジェスチャーによるコンピューターの操作。12年からはパソコン向けにも販売している。

・アップルはスマホを音声で操作できるシリを11年に開始。

・グーグルはスマホやパソコンで音声による検索サービスを提供。グーグルが開発を進めている眼鏡型情報端末「グーグル・グラス」も音声による操作が前提。


●自動車イノベーション

・太陽誘電、電動バイク向けなどの充電器市場に参入。テレビ向けなどで培った電源回路の制御技術を生かして、他社の従来品よりも容積が約6割小さい出力1キロワットの製品を開発。年内にも受注活動を始め、国内外の自動車メーカーや産機メーカーに売り込む。電気自動車(EV)向けの製品も順次開発し、2015年度に10億~15億円の売り上げをめざす。電動バイクのほか、1~2人乗りの超小型自動車や芝刈り機などでの使用を見込む。13年度中にさらに出力10キロワット程度の製品も開発する予定。まず小型機で実績を作り、EV向けや産業用機器向けでの採用につなげる考え。

・革新的技術の集積で、燃料電池車は量産間近。「究極エコカー」500万円メド。ホンダ、GMと開発。炭素繊維など軽量化素材、燃料電池スタック、充填設備関連などで25年までに計2兆7千億円の経済波及効果。

「究極のエコカー」車両価格は、自動車メーカー大手が量産車を発売する2015年には500万円前後まで下げるメドが立ってきた。ホンダが米ゼネラル・モーターズ(GM)と基幹システムの共同開発で合意するなど普及競争に向け業界の合従連衡も盛んだ。燃料電池車は空気中から取り込んだ酸素と水素を「燃料電池スタック」と呼ぶ特殊部品の中で化学反応させ、発生した電気で駆動する仕組み。走行中に排出するのは水だけ。二酸化炭素(CO2)などを排出しないため「究極のエコカー」と呼ばれてきた。

・燃料電池車は化石燃料を一切使わない。燃料電池車は燃料である水素の充填時間がガソリン給油とほぼ同じ。航続距離は現時点で500キロメートル前後とガソリン車並みに走る。

(水素タンク)例えば高圧の水素をためる車載用の水素タンク。鉄よりも軽く強度のある炭素繊維の活用によって強くて小型軽量の製品ができた。水素と酸素の化学反応を促す触媒に使う高額な白金の使用量を減らす技術の開発も進んだ。「水素ステーション」も設置し、普及を図る。ただ15年に100カ所以上という建設計画を実現するには、補助金制度などで一層の支援体制が求められる。


●シャープ資本増強へ。1000億円超、LIXILなどに割当検討ホームエレクトロニクス市場への参入を強化か。


●電力系統用のリチウムイオン電池の世界市場規模は2020年にも約3兆円に達する見通し(経済産業省の試算)。

・日立化成、大容量リチウムイオン電池の生産能力4倍に投資総額は22億円。全国的な大規模太陽光発電所(メガソーラー)の普及で、送電線に流す電力を一定に保つ大容量蓄電池の需要が拡大。これまで補助電源用向け小型タイプが中心だったリチウムイオン電池の大容量化が進むとみて新規市場の獲得を狙う。日立化成は子会社の新神戸電機の名張事業所(三重県名張市)で大容量リチウムイオン電池を増産する。生産設備を改良し、月産5千セルの生産能力を同1万2500セルに増強。12月には生産ラインを増設し、同2万2千セルに引き上げ。増強後の年間生産能力は一般家庭7千世帯の1日分の消費電力量に相当。メガソーラーなどに組み込む大容量蓄電設備向けに年70システム以上を生産できるようになる。日立化成は昨年、産業用電池製造の新神戸電機を完全子会社化した。同社は発火しにくいリチウムイオン電池の開発などを進めており、産業用電池の国内市場で3割のシェアを持つ。

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