2013年1月4日金曜日

国内における医療費の流れ

新年、明けましておめでとうございます。
今年も皆様の様々な未来投資に役立つ知識やアイデアをお届したいと努力する所存ですので、技術ベクトル研究所をお引き立てのほどよろしくお願い申し上げます。
年頭の御挨拶に続き、医療問題に触れたいと思います。

【国内医療費の流れ】
平成20年度~平成22年度の国の様々な統計を元に国内における医療費(推計)の流れを追ってみた。
国民医療費37兆円のうち約14兆円は126万人の医療従事者の給与である。
約3兆円は医療機器メーカーへ。
約8兆円は製薬メーカーと処方箋薬局へ。
医療施設経費等へ8兆円。
その他へ4兆円。

37兆円は誰が支払っているのか。
国民の約6.4%にあたる患者が5兆円。
健保組合が18兆円。
国と地方が14兆円。
健保組合及び国と地方の財源は国民1億2千万人が負担。

【医療費問題について】
ところで、65歳以上の医療費増加が問題になっている。
確かに著しい。しかし、65歳以上の患者率は低下している。
これは健康意識の高まりと捉えてよさそうだ。
厚労省の国民医療統計(H22)によれば、65歳以上の約半数が健康のための生活習慣を心がけている、とされる。

国や自治体は医療費負担の割合を操作することで国民医療費の縮小を図ろうとしている。
しかし、効果はしれている。
結論から言えば、長期的には医療費の削減には予防医学的サービスを発展させることがよさそうだ。特に、生活習慣病や精神疾患を中心に65歳以上の受療数を減らすことができれば、医療費は劇的に下がるはずだ。

【時間的猶予問題】
2030年には65歳以上の人口が30%を超える。あと、17年しかない。
現在、40代後半から50代の健康意識と疾患予防の実践を強化するための市場開拓に成功しなければ、悲劇的な社会状況が待っている。
カギを握るのは生命保険と健康保険だと考える。
いろいろな方法はあろうが、パーソナル・ヘルス・レコード(PHR)の実用化とそれに連動した保険制度を創ることが、国民の健康意識を自主的に高めるのに最も効果があると考える。
そのためには、日々の運動習慣と健康リスクの関係を早く明らかにすることと、PHRのセキュリティと信頼性の確保が欠かせない。
ライフイノベーションを掲げる公的研究機関はそこに注力する必要があると思う。

【雇用問題への配慮】
破壊的技術開発に賛同を得るためには、雇用不安を取り除かねばならない。
国民医療費を半分の約20兆円にすると、推定で50万人規模の医療従事者が職を失う。
技術開発には医療従事者を巻き込み、新しい雇用枠へシフト出来るように配慮しなければならない。


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