2013年3月9日土曜日

産業傾向―今年の明暗

革命とも言われるシェールガスの開発。
石炭や石油の価格を下落させる勢いである。
炭酸ガスの地球温暖化への影響の科学的根拠が揺らぐ中、原子力からガス火力、石炭火力への移行が進むとみられる。
化石資源価格の下落は石油化学産業に波及するだろう。
アジア、アフリカでは繊維の需要が増加し、帝人をはじめとし、繊維業界への利益を押し上げている。また、紙おむつの普及も進み、高水吸収樹脂の需要の伸びも国内化学産業を活気づける。

太陽光発電について述べれば、多数の店舗を持つ小売業界がメガソーラー事業に進出し、太陽光発電市場を活気つけている。建設業界は新築マンション、新築戸建て住宅への太陽光発電の標準装備についてテスト販売を行っている。
ソーラーパネル自体は中国と国内多数の企業の競争関係が激化し、下手をすると液晶テレビの二の前になることが恐れられている。したがって、太陽光発電のバリューチェーンの中では、設置事業、アフターサービスの部分に利益が集まるだろう。

今年はガソリン車からモーター車へのちょうど転換期になろう。双方入り乱れの状態から、すこしモーター車の存在感が上回るとみている。日産や三菱自動車の巻き返しが見ものである。
モーター車の存在感によって、バッテリー業界が活気づくと同時に競合が増え、利益を押し下げることが懸念される。

国内建設業界が活況である。復旧から復興へ、さらに、老朽化インフラ対策の特需が背景にある。不動産、建設の活況に伴い、足場や安全器具などの建設資材の業界も活気ついている。この業界が活気つくとその資金供給元になる金融も活気つく。政府は省エネ設備投資に1/3補助を行うとしており、今年のGDP対策の目玉となろう。

生活に目を向けると、外食から内食の傾向が鮮明になり、スーパーの総菜が売り上げを伸ばしている。また、素材へのこだわりが普及し、有機野菜や天然調味料等の需要が伸びている。関係各社は植物工場の活用を検討している。植物工場は季節に関わらず、品質一定の野菜を安定供給できる。既に導入している企業では、生産された植物の在庫が常にない状態が続いているという。

老人ホーム、高齢者用介護付き住宅の数が増えている。なかなか利益が出ない事業であるが、チェーン展開することで、配食やその他のサービスの顧客の囲い込みにつながるところから、進出する企業が多い。コンビニと似たような利益モデルになるだろう。

栄える業種あれば疲弊する業種あり。
家電、エレクトロニクスがそれにあたる。家電量販店の活況がもたらした家電メーカーの苦境。それがめぐりめぐって家電量販店の苦境を作る。また、技術が飽和しており、製品を作ってもすぐにまねされ、差別化が難しい。開発投資の回収ができない中で、閉そく感が強い。
この分野は、ノーマリオフ等突出した省エネ技術、素材等の登場による破壊的イノベーションが待たれる。

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