2010年5月16日日曜日

製薬2010年問題

国内で16万人が従事する製薬企業。流通までカウントするとその産業の影響下にある国内従事者は100万人を越える。
今、その産業は2010年問題と呼ばれる困難に直面している。

1990年代は創薬の大発展期であった。1960年代に医薬品の審査ガイドラインの国際的な統一が進められ、また、コンビナトリアルケミストリーや分子生物学の波及効果で、新薬開発が加速された。ビジネスでは薬価制度のない海外で新薬の特許の獲得が増えた時期であった。年間50以上の新薬が市場に登場した。ゴールドラッシュという表現もそのころできた。

その特許が今いっせいに期限を迎えている。医薬品売り上げの60%以上は特許に基づく価値だ。その権利が切れると、新薬は後発薬(ジェネリック)との競争にさらされ、市場を奪われていく。
治療効果がジェネリックに対してそれほど優位でない新薬は、特許が切れていなくても価格競争に負ける。
こうした状況を改善するために、製薬企業は世界中から筋のよい医薬品パイプラインを導入するために資金を導出する。

1990年代はブロックバスター薬の時代であった。一剤で数千億円を売り上げる医薬品をいくつももっている企業が複数現れた。今、その特許が期限を迎えている。採りつくされたブロックバスター市場はジェネリック市場に変わるのである。その結果、ブロックバスター市場の売り上げ規模は3分の1に縮小すると見られている。

製薬企業はビジネスモデルの転換点にあるといえる。競合薬の多いブロックバスター市場で戦うためには、大規模な治験を覚悟しなければならない。治験患者の奪い合いは治験コストを吊り上げる。リスクも大きくなる。こうした中で、特定疾患の治療薬の開発に向かうもの、診断薬とともに新薬をだすもの、ワクチンビジネスに移るもの等、いくつかの模索が始まっている。

患者を市場とする中の模索がある一方で、健常人の予防ビジネスにも期待が集まっている。先進国の産業構造が変わり行く中で他業種からの新規参入も期待されるこの領域は制度整備が十分でなく、市場の信頼性が確立されていない。

日本の成長力を育成するためにも、厚生労働省はアンメット市場の開拓に向けた整備を現段階から行うべきでないか。

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